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魔女の呪いで男を手懐けられるようになってしまった俺  作者: ウミガメ
第3章 闘技場とハーレム
31/75

★夢と現実の狭間の中で

※一部に性的表現があります。苦手な方はご注意ください。

~~~~


ギルバートとの儀式を終え、俺は自室に戻っていた。


ベッドに入ると、今日は修行をしていないはずなのに、いつもよりなんだか身体が怠く重い気がした。

少し、ギルバートへの魔力を供給し過ぎただろうか?


あれほど降っていた土砂降りの大雨も今は止み、部屋の中は静寂に包まれている。

全身に感じる布団の重みと温かさに身を預けながら、俺はユウリの事を考えていた。


―――ユウリは今頃ちゃんと寝られただろうか?

―――部屋まで様子を見に行った方がいいだろうか?


しかし、その度に「今日はそっとしておけ」というギルバートの言葉に思い留まっていた。

そうして思考は何度もぐるぐると渦を巻き、次第に意識が遠のきかけた頃。



コンコン


と、部屋にノックの音が響いた。


「おにぃ……起きてる?」


その瞬間、ずぶ濡れになったあの時のユウリの顔が思い浮かぶ。

俺は手に一瞬で力をこめてベッドから起き上がった。


ドアノブを開けると、枕を抱きしめたままのユウリがそこにいた。

着ているパジャマは明らかにユウリのものではない大きさで、袖はだるんと持て余していて、ズボンの裾は床を引きずっていた。

ユウリはぼんやりとした顔のまま、枕を強く抱きかかえて俺をじっと見つめている。


俺は丁寧にユウリのパジャマの袖をまくってあげた。


「おいで」


そして現れた小さな手のひらを優しく引くと、ユウリは大人しくベッドに一緒に入った。


しかし、そうしてもユウリは笑顔を見せなかった。

ユウリは街にいた時の破天荒な明るさが抜けて、まるで抜け殻のようだった。


ここに来るまでに一体何があったのかわからないが、普通であればコルリからは1ヵ月はかかる道のりだ。

並大抵の苦労でここにたどり着いたのではないのだろう。


俺はベッドの中でユウリを自身の胸に抱きよせると、頭を優しく撫でた。

するとユウリの肩がびくっと震える。


「……ッン……ェグッ……」


押し殺すような泣き声と鼻をすする音が、静かな部屋の中に響いていた。


 *


しばらく時が経ち、ユウリは落ち着いたようで、ポツポツと話を始めた。


「おにぃが……どこにも居なくて……ボク、街中たくさん……探したんだ」


俺はできるだけユウリの話を遮らないよう、「うん」と優しく相づちだけを打った。


「もしかして、ボクを置いてもう……旅に出ちゃったんじゃないか、って初めは思ったんだ。でもおにぃが……そんなはずない……って、探したの」


胸の中でユウリがもぞもぞと動きだす。

そしてユウリは顔を上げて、胸の中から俺の顔を上目遣いに見ていた。


「旅人が……誰かにころされかけた……て聞いたの。もしかしたらって思って調べたら、おにぃだってわかった。ギルバートさんの故郷にいることもわかった」


ユウリの瞳がゆらりと、揺れる。


「それからはもう、居ても立ってもいられなくて、ボクも、もうちゃんと覚えてないんだけど……。おっきくしたルイに乗って、ここまで来たよ」


ユウリはまるで俺の存在を確かめるように、自身の体を俺に何度も押し付けてはぎゅっと抱きしめる。


「怖かっ……」

「ありがとう」


俺はユウリの頭を優しく撫でた。


すると、ユウリは「えへへ」とようやく笑顔を見せた。


「ボク一人でこんな遠くまできたことなかったから、大雨の中怖くてたくさん泣いちゃった。でも、おにぃにもう会えないかもしれない。……って思ったら……それが一番怖かったよ」


ユウリのその言葉に、今度は俺が泣きそうになる番だった。

俺の泣きそうな顔の反面、ユウリは不思議そうな顔を向けた。




「おにぃ、なんか当たってるよ……?」




その一言で俺の涙は一瞬で引っ込んでしまった。


当たっているというのは、もしかしなくても―――


「……これは、生理現象ってやつだよ」

「せいりげんしょう……?」


ユウリは興味深いように俺の下半身に目を向ける。




神様、今この瞬間だけでも俺を、誠実な人間にしてください。




「ボクも、おにぃと一緒にいると、なんだかここがムズムズする……どうして?」


「まさか、自分でやったことないのか……?」


「自分でって……?」


「……普通は近所のお兄さんとかが、教えてくれたりするんだけどな」


俺はその発言をしてからハッと、ユウリのあの家を思い出した。

あの巨大なお屋敷におじいさんと2人、友達もおらず、閉じこもり続ける日々。


その環境の中では、どう考えても―――


案の定、ユウリは俺の発言にその顔を曇らせていた。


「ボクは、普通じゃないってこと……? おにぃは……そんな、ことをボクに言うの?」


「わ、わかった……」


ユウリのその発言に観念してそう言うと、今度はパッと笑顔を浮かべ、目を輝かせた。

その大きな瞳が、俺の顔を映し込んでいた。


その瞬間、俺の中の何かが外れて、自身の心臓がドクドクと鼓動を打っていることがわかった。



俺はユウリを抱きかかえながら、一度起き上がりベッドの上に座り込む。

足を延ばして、その間にユウリを座らせる。

ユウリは少し驚いた表情で俺を振り返った。


「怖くないから、な」


鼻先にユウリの髪が触れる。

その髪からはほんのりとギルバートの家のシャンプーの香りがした。


俺はユウリのズボンをゆっくりとずらす。


「右手を貸して」


そしてユウリの右手を優しく包み込むように取り、ユウリのものに当てた。

ユウリは俺の手が触れるとビクッと身体を震わせたが、拒否はしなかった。


―――もう、そこからは止められなかった。


「上下にゆっくり動かして、そうだよ」


俺はユウリの手を一緒に握りながら、少しずつ手を上下に動かしていく。

ユウリの耳の先が真っ赤になっているのがわかった。


ドクドクとした心臓の音がユウリのものなのか、自分のものなのか、次第に分からなくなっていく。


「お、おにぃ……やだ、怖い」

「大丈夫だよ」


ユウリはその手を止めようとする。


そこで俺は、ユウリの固くなった指先を一本ずつ、ほぐしてあげるよう、優しく握り返していく。

その手がまた落ち着くと、そのままもう一度当てて動かしていく。


しばらくそう続けていると、ユウリの口からはか細い息が漏れるようになっていた。


右手の動きはもはや自発的なものではない。

ユウリはもう力が入らないようで、自身の小さな体重を俺に預けていた。


「……おにぃ……なんか出そう」


静かにゆっくりと、その動きは続いていく。


「やだ……ぁ、あ」


その瞬間、ユウリの身体は小さく震える。




次第にもやが晴れていくように、俺の頭は急速に冷静さを取り戻していく。


やってしまった―――



「ほ、ほら、よかった。これが―――」




ユウリはベッドから勢い良く飛び上がり、


そのままバタバタと走り出し、


部屋を立ち去っていった。


扉は開かれたままで、走り去っていった廊下の先は暗闇に包まれている。





わかっていたはずだった―――


触れれば、その心を壊してしまうと。



自分の右手を見つめながら、ああ、夢であればよかったと、後悔をしていた。


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