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ランクについて

レンは歩きながら周囲を見渡した。同じ年齢の男女が、同じように歩いている。誰も疑問を抱いていないように見えたが、それが当然だった。二十歳適性試験は宇宙進出後に始まった制度で、正確には第3142回を迎える今年で三千年を超える歴史がある。


当初は小規模な能力測定に過ぎなかった。地球統一政府樹立期、医学の発展による長寿命化によって人口爆発と一部の不適合者を社会が支える負担の増加が限界を迎え、資源配分の最適化を目的として導入された。当時は「適材適所」という美名の下に。


やがて宇宙進出が本格化し、複数のコロニー間で人材を効率的に配分する必要が生じた。試験は拡大・複雑化し、現在の形になった。法律で義務化されたのは宇宙暦847年で、以降、全人類は二十歳を迎えた時点で試験を受ける。拒否権はなく、拒否した場合はDランク相当の処分が確定する。つまり事実上の社会排除だ。参加しない選択肢は、制度設計上、存在しない。


試験の内容は毎年変化し、シミュレーション技術の発達により仮想環境での複合的評価が可能になったのは約二千五百年前で、それ以前は実地での課題だったが、コストと内容の調整が困難という問題から現在の方式に移行した。今年の参加者は約一億人、男女半々で、全員が同時に仮想空間に投入される。


評価基準は公開されていない。


公式には「複合的適性の総合判断」とだけ記されており、結果は五段階のランクで示される。S、A、B、C、Dの5つだ。


Sランクは年間数名で、世界的英雄扱いを受け、強力な社会的・経済的インセンティブが与えられる。


Aランクは上位百分の一で、一部、給付や特別枠などの優遇された社会制度がありエリートへの入口だ。


Bランクが大多数を占め、一般市民としての生活が保障される。


Cランクは約一割で就職等への制限がかかり単純労働が中心となり、社会的下層を形成する。


Dランクは百分の一で、治療や監視の名目で隔離されることになっているが、Dランクはその後社会で見かけることは何くなり、処分されているとのうわさは絶えない。


ランクは一部例外を除いて一生涯を通じて基本的に変更されない。医療技術の発達により肉体的な制約がほぼ解消された現在、精神的能力と社会的適性が人間の価値を決定する。平均寿命は約五百歳、長い人生を、二十歳の試験の結果が大きく支配する。

「――すごい人だな」

ユウトがぼそっと呟いた。

「毎年のことだろ」

レンは平静に答えた。

「そうだけどさ……なんか、今日のはいつもと違う感じがするんだよな」

「違うって?」

「うまく言えないんだけどさ……空気っていうか、重さっていうか」

レンは首をかしげた。

「空気? いつもと同じだと思うけどなあ。みんな緊張してるだけじゃない?」

「……かなあ。まあ、俺の気のせいかもな」

ユウトはそれ以上言い募らず、視線を前方に戻した。でもその背中は、どこか張り詰めているように見えた。レンはユウトの肩をポンと叩く。

「気にしすぎだって! ほら、もうあそこだぜ!」

試験センターの巨大なゲートが視界に入る、銀色の壁が天井近くまでそびえ、人が吸い込まれていく。機械のように整然と、何万人もの若者たちが一糸乱れぬ動きで流れていく光景は、圧巻だった。

ゲートの上部には文字が浮かぶ。

『第3142回 二十歳適性試験』

レンはその文字を見上げながら、ふっと息を吐いた。

(大丈夫なんとなる)

もう一度心の中で繰り返す、自分を奮い立たせるように。

すべての答えはシミュレーションの中にあるなら、やることは一つだ。その中で自分を信じて最善を尽くすだけ、レンは一歩踏み出し、銀色のゲートへと向かった。

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