エピソード4「本物の"勇者"とは」
「なんで...なんでだよ...!なんで僕ばっかり...!
こんな酷い目に遭わなきゃいけないんだよ...!」
辛かった、悲しかった、F級スキルだとかで笑われ、
蔑まれ、自分がいやになった。
これまで積み重なってきた苦痛が、悲しみが、僕の心を
ボロボロにしていた。
それを最後にへし折ったのは、あの、子供から金を巻き上げるような、クズの盗賊だった。
あれから僕は2日ほど、なにもすることができなかった。
けれども生活するにはお金が必要だった。
「行きたくないなぁ...」
ダンジョンに潜ることが夢だった僕は、ダンジョンに行くことすらも嫌悪していた。
ダンジョンに潜ってすぐ、スライムに遭遇した、
「うッ!」
「グハッ!」
まずい、ぼーっとしすぎて攻撃をよけられない。
「はっ...!」
「ニュルニュル...」
スライム一匹を倒すだけで6分くらいもかかってしまった。
こんなスライムごときにボロボロになっている僕が、
こんな自分が、もっと嫌になった。
「うぅ...なんで...!なんで!僕はこんなに弱いんだ!」
こんな惨めな自分に涙があふれてきた。
でも、泣いたところで自分の弱さは変わらない。
分かってる...分かってるんだ...!
結局、F級スキルはF級、どう頑張ろうと、AやSランク冒険者なんて絶対なれやしないんだ。
スライムを6匹ほど倒したところで、すぐダンジョンから出た、というより、逃げてきた。
ダンジョンの帰り道、とある本屋の前で足が止まった。
僕の憧れる、"勇者"の本を買った本屋だ。
「懐かしいなぁ...」
僕は無意識で本屋に入っていた。
「これは..."勇者"の...本」
僕はその本を手にとって、昔を思い出すように読んでいた。
「"本物の勇者は、どんなに辛くても、どんなに苦しくても、心が折れようと、最後には立ち上がって抗うんだ!"」
「"どんな道だろうと、どんな事があっても、勇者は進むんだ!前へ!前へと!"」
そうだ...勇者を目指す者なら、こんなところで諦めてはいけない...!勇者が...!カノトスがそうだったように!自分には、進むべき道があるんだ!
F級スキルだろうと...!「ゴミ収集」スキルと馬鹿にされようと...!どんなに弱くとも...僕はSランク冒険者になってやる!




