第4話 "村人R" は "変装" した!
「こっちか…?いやそれともこっち…?」
レオンは静寂な森の中を彷徨っていた。
⦅そろそろ食料もつき、レオンは追い込まれていた。しかし、寂しくはない。なぜなら超絶クールな呪縛者、フレッシュ様が支えてくれるからだ。諦めるなレオン!負けるなレオン!⦆
「頭ん中で喋るな気持ちわりー!」
レオンが半ギレで言う。
⦅そうキレんなよ坊主、俺様だって腹が空いてんだからよ⦆
「どっちが町とか分かんねぇのかよ…」
⦅分かってたら、こんなところで右往左往させてねぇよ⦆
レオンがため息をつく。
「そもそもなんで『腐食《そんな姿》』になったんだ。」
⦅俺様だって好きでこんな体になったわけじゃねーよ、そもそも記憶が曖昧っつーか、不思議な感じがしたらこれだよ⦆
「なんだそりゃ」
レオンは呆れながら言う。
「結局はお前が悪人で悪行をしたからそういう風に身を滅ぼしたわけd…」
ドゴーン
静かな森に似合わない大きな爆発音
レオンは瞬時に振り向く。
「あっちから聞こえたよな」
⦅そうだな⦆
「行く価値あると思うか?」
⦅ここで坊主が進まず、右往左往するよりはな⦆
レオンは、むっ、としながらも走る構えをとる。
『疾風怒濤』
今更になって気づいたことだが、おそらくフレッシュが体の中で筋肉を膨張させているのだろう。
だから無理矢理力を引き出した分、空腹感に襲われるんだろうと思う。
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爆発音がした場所まではそれほど時間が掛からなかった。
レオンは木陰に隠れた。
フレッシュが肉片を伸ばして様子を見る。
⦅負傷した男と女が1人ずつ、それと魔法使いの女が1人、気絶しかかってんな⦆
「敵の数は?」
⦅ゴブリンの集団だな、30匹ってとこか。結構な数いんな。てか、坊主どうしたその喋り方⦆
「こういうシチュエーションは一人で何回も練習してんだよ」
⦅用意だけは一丁前だな⦆
「うるせぇ!行くぞ、俺のデビュー戦!」
⦅待て坊主⦆
フレッシュが肉片を出し、レオンを転ばせる
レオンは起き上がる。
「何しやがる、クソ肉!」
⦅おそらくだが、お前は呪縛者だと顔が割れてる。今の顔のまま出てって、助けた後に『円卓』に引き渡されて、おしまいだろうよ。⦆
「じゃあどうすんだよ」
⦅簡単だ。俺が顔になればいい⦆
「は?」
⦅俺様がお前の顔に張り付いて、別人の顔になりぁいいってことだよ⦆
「そんなんバレたらどうすんだよ」
⦅この俺様の変装がバレるわけねぇだろ、安心してな⦆
「失敗したら呪うからな!」
⦅俺を《《呪う》》か、いいジョークだな⦆
フレッシュが俺の顔の周りに肉片を生やし始める。
⦅完成だ⦆
フレッシュがどこからともなく鏡を出す。
レオンの金髪は血のような赤髪に変化していた。顔も胡散臭い糸目の男に変わっていた。
「これ、誰参考にしたんだよ」
⦅昔、なんかの張り紙で見た顔。⦆
「適当すぎんだろ」
⦅そんなことよりさっさと助けて、飯でも奢らせようぜ⦆
「そうだな…今度こそ行くぞ!俺のデビュー戦!」
レオンが勢いよく飛び出す。
「ギギィ!?」
ゴブリン達は森から飛び出してきたレオンに驚く。
『疾風怒濤』
レオンが構えると共に腕に肉塊が巻き付く、レオンが踏み出した次の瞬間、ゴブリンの顔に拳がめり込む。ゴブリンは5mほど吹き飛び、体を少し痙攣させている。
「うっわ…」
レオンは苦笑いをしながら言った。
⦅流石俺様、素晴らしいパワーだな!この技を『肉体変異』と名付けよう!⦆
「ダサいだろ…もっとこう…なんかさ」
⦅じゃあ、坊主ならなんて言うんだよ⦆
「俺?俺なら…」
「キェー!」
ゴブリン達が陣形を組み始める。
「うーん…」
レオンは悩みながら、間一髪でゴブリン達の攻撃を避ける。
「肉装ってのはどうだ?」
⦅お前の方がダサいじゃねーか⦆
⦅肉体変異⦆
「おい、ちょっと勝手に…」
今度はレオンの全身を肉塊が覆う。
全身は剥き出しの筋肉が脈打ち、顔はフレッシュの大きな口がマスクのように貼り付いており、レオンの片目だけは露出していた。また、背中から肉塊が触手のように伸びている。
[はっはっは!ぶっ飛ばしてやるぜ!]
レオンとフレッシュの声が混ざったような声が響く。
『肉塊疾走』
レオンの全身をフレッシュが強引に動かす。その速さはレオンの『疾風怒濤』とは非にならないほど速く、次々とゴブリンの頭が弾ける。
最後の一匹まで倒し尽くし、ゴブリン達の血飛沫が雨のように降り注ぐ
[最っ高の気分だぜ!やっぱ体を動かせるってのは素晴らしいなぁ!]
次の瞬間、レオン達の視界が歪む。
⦅「あ、がッ」⦆
『肉体変異』が解除される。
ただでさえ、力を使うのにそれを全身にしたのだ。さらに今回は元からまともに食べていないというダブルパンチ。
レオンは頭がぼんやりとする。尋常じゃないほどの空腹感がレオンを襲う。
レオンはふらふらしながらそばに倒れている人達に近づく。
(ニグだ、新鮮な肉ダ…喰イたい…)
⦅坊主、そっちじゃねぇ!⦆
フレッシュの声でレオンは正気を取り戻す。
⦅ゴブリン共で一旦栄養補給にしようぜ⦆
「こ、コイツらを食うのか?」
⦅じゃあ何食うんだよ⦆
「それは…」
ぐぅ〜、レオンの腹が大きく鳴り響く。
レオンは先ほどまでの正気ではない思考を誤魔化すように覚悟を決める。
⦅安心しろよ…ちょっと胃の中に入るだけだ⦆
体から無数の肉片が伸ばされる。
それぞれがゴブリンの死体に覆い被さり、肉片から《《ナニカ》》が吸い上げられてレオンの体の中に入ってくる。
「ウッ…あんまいい感覚じゃねーな…」
⦅まぁ、腹は多少マシになったろ⦆
「あぁ、それよりここから早く離れよう。多分あれだろ、コイツらの拠点」
レオン達の視線奥には、小さな村ほどの大きさのあるゴブリンの集落がある。
⦅そうだな、それにしてもここまでもデカいと近くの村でも襲いそうなもんだがな⦆
「そんなこと考える前にこの人達を運ぶぞ、手伝ってくれ」
⦅全く、《《肉》》使いが荒いな、骨が折れちまう⦆
背中から生えた肉片が3人を担ぎ上げる。
「骨あんのか?」
⦅やっぱ坊主、ジョークの才能あるぜ⦆
「要らねーよ、そんな才能」
そんな会話をしながらレオン達は3人を担ぎ、その場を離れていく。
レオン は ゴブリン達に 勝利した!




