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「……さて、次はヴァレリーだな」


 俺は、狩人ヴァレリーの方を向いた。


 ヴァレリーは、自他共に認めるイケメンで女たらしだ。


「や、やめてください……このレベルの衝撃が続いたら……私……死んじゃいますっ!」


 すでに疲労困憊のドロシー。


 ヴァレリーは、何も言わずに俯いた。やましいことがある証拠だ。


「私は気になるわね」


 隠し事がいくつかなくなったアンの表情は、どこか晴れやかだった。


「…………す、すまない、アンの衝撃で放心していた。だが、レイ。僕には騙していることなんて一つも――」


「……ばれてる」


「え?」


「お前の頭頂部のハゲは……パーティメンバー全員にバレている……」


 その超絶技巧で昼は魔物を狩り、夜は女を狩っているヴァレリー。彼の頭頂部の毛はすでに刈り尽くされ不毛地帯となっていた。


「ええええええええええええええええええええッ!?」


 驚きのあまり、悲鳴にも似た叫び声を上げるヴァレリー。


 彼以外のパーティメンバーは「そのことか……」といった感じで、大した反応はしなかった。


 しかし、それによってヴァレリーは俺の言葉が事実であるとはっきり理解してしまう。


「どお゛じでだよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ!」


 ヴァレリーは悲痛な叫び声をあげて、被っていた帽子を床に叩きつけた。


 頭頂部が光る。


 逆にどうして帽子だけで隠せていると思ったのか。


「……たぶん、下手に隠すより残りの髪も全部切った方がいいと思うぜ。お前イケメンだし、坊主でも顔でカバーできる」


 よく言ったヤニク。


「建設的なアドバイスをするのはやめてくれえええええええッ! 聞きたくないッ! 聞きたくないいいいいいッ!」


「嫌なら別にそのままでもいいが……」


「知りたくなかったッ! 僕はそんなこと知りたくなかったッ! もう誰も信じられないッ!」


 叫ぶヴァレリー。人間不信がもう一人増えたようだ。


「わ、私たちはそんなこと気にしませんよ。ヴァレリーさん。……ふふっ」


「ドロシー貴様ああああああああああああああああ! 今笑ったなあああああああッ!」


 俺も一応、ヤニクやドロシーみたいに何か慰めの言葉をかけておいてやるか。


「落ち着くんだヴァレリー。お前だけにはいい知らせだってあるんだぞ。なんと、ヴァレリーは伝説の勇者の血筋であることが判明した。おめでとう」


「よくこの状況でそんな話ができたものだな! 喜べるかそんなもの! こっちはハゲがバレていたんだぞ!!!!」


「えぇ……?」


 逆効果だった。


「とにかく……もうお前に付き合って気づいてないフリをすることに疲れたんだ……」


「もっと早く言うか、隠し通すかどっちかにしてくれよ……! なんでこんな中途半端なタイミングで……」


 ヴァレリーは、ぶつくさとそんなことを呟いている。


「ヴァレリーさんに関しては、知っていることでよかったです」


 ほっと胸をなで下ろすドロシー。


「……まあいいさ。バレてしまったのなら仕方ない。これからは、ありのままの僕でいることにするよ」


 清々しい表情のヴァレリー。


 心なしかいつもより輝いて見える。


 だが、こいつにはあともう一つだけ言っておかなければいけないことがあるのだ。


「あと、お前が最近町に出没する露出魔であることも、すでにばれている」


「――へ?」


 唖然とするヴァレリーの肩を、いつの間にか背後に立っていた衛兵が叩く。


「頭頂部のはげた男……証言通りだ。貴様を露出魔として連行する。ついてこい!」


「ええええええええええええええええええ!?」


 こうして、ヴァレリーは露出の容疑者として衛兵に連行された。


「きっと、俺たちにハゲを隠してたまった鬱憤を、全身を露出することで晴らしていたんだろうな……」


「ヴァレリーさん、ハゲる前からちょくちょくやってましたよ。そっとしておいてあげていましたが……」


「いや言えよ!?」

薄毛の方ごめんなさい


イケメンの方と露出魔の方には謝りません

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