第二十二羽:自分の居たい場所
リタナシアからの誘い メグルの思い
まだ小さい頃、リタが旅に出ると聞くたびに、自分も連れて行って欲しいと我が儘を言った。
リタは決まって"もう少し大きくなったらね"と頭を撫でてくれた。
「旅に……?」
「あぁ。実はまだ目的である春の世界を見つけられて無いのさ。ここに帰って来たのも休憩のような物だしね。二日後にはまた出発する。そこで、そろそろメグルも外の世界に飛び出しても良いんじゃないかと思ってご両親に相談した訳だ。ご両親は君の意見を尊重すると言ってくれたよ」
リタが誘ってくれた。子供の頃にどれだけ頼んでも駄目だった旅に。
「すぐには決断できないだろう。お店の事もあるし。改めて聞くから、考えておいてくれるかい?」
「……分かった」
その日の夜、レスト・パーチはリタに会いに沢山の人が詰めかけた。
ニック、アトラスさん、カームさん、ウィーノ、グラウさん、運転手さんまで。他にも多くの人がリタの無事を祝うためにやって来る。何だか嬉しい。
「はぁ、旅に来いって?」
リタに誘われた事をニックに相談した。答えは決まっている。でも、誰かにもうひと押しして欲しくて……
「うん。昔から連れて行けって、頼んでたからね。リタが話してくれる旅の内容が、ものすごくわくわくしたんだもん」
「……そうだったな。ここに遊びに来るといつもあいつに色々な世界の話しばかりさせてたな」
ニックは席を立つ。あれ?
「んじゃあ、そろそろ行く。お前ん家に寄らなきゃいけないから」
「え、ちょ、ちょっと……」
「……お前が行くか残るか、どっちを選ぼうが俺が口出す事じゃ無いだろ? ただ、お前が来いって言うなら付いて行ってやる。お前が待ってろって言うならいつまでだって待っていてやる。お前が行かないって言うならまた一緒に居てやる。だから、何も心配せず選べよ……」
そう言ってニックはお店を後にした。代わりにアトラスさんがカウンター席へと座る。
「ははは、あいつも素直じゃ無いな。行って欲しくないくせに」
「……そう、なのかな?」
「いや、ちょっと違うか。あいつにとって場所はどうだって良いのかも。……いい加減気付いても良いんじゃないかい?」
アトラスさんはテーブル席へと戻って行く。
「違うよ、アトラスさん……」
首から下がったそれを取り出す。あの日からシキミドリと共に必ず付けている。ニックから貰った首飾り。
もう、気付いてるよ。もう知っているよ。この胸に灯っている感情が何なのか。
お店を見渡す。多くの人で賑わうレスト・パーチ。
みんなが笑顔だ。みんな楽しそうだ。私の好きな光景。
やっぱり答えは変わりそうにない。ありがとうニック。もう、大丈夫だよ。
「リタ……! 私、決めた!」
次回予告
「私にはやりたいこと、やらなきゃいけないことがあるの……!」
※完結まで固定となります
完結まで2話




