↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
32/38

真相

惟光(これみつ)さんが紅茶を飲み干したタイミングを見計らい、私は切り出した。


「惟光さん、申し訳ありませんが、お屋敷まで送っていただけますか?」

「お母様、ありがとうございました。この手紙を……」


「どうぞ、持っていらしても構いませんよ」


「ありがとうございます!」

深々とお礼を述べると、私たちはそのままお屋敷へと向かった。


帰路につく車内。窓の外を眺めながら、秀青(しゅうせい)さんや透青(とうせい)様と交わした過去の言葉が、いくつも脳裏をよぎっていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『私を秀青だと思って接してくれて構わない。名前だって『透』からしんにょうを抜けば『秀』になる。一卵性双生児でDNAも同一なんだから、物理的には100%秀青だ』


『(透青と秀青は)入れ替わってなどいない』


『いずれ然るべき形に収まる。私を信じ、何が起きても動揺しないでほしい』


『もし予言通りになったとしても、別に最悪な事態になるわけじゃないんだ』


『ハザマのことは、どう思ってる?』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


屋敷に到着し、すでに帰宅していた透青様の部屋へと案内される。

用事を済ませたばかりの透青様は、すっかり疲れた様子で布団に横たわっていた。


「初音〜、こっちで一緒に寝よう」


催促されるまま、私は彼の隣にそっと腰を下ろした。

伸ばされた彼の手が私の手を包み込む。


彼は手のひらを指先でやさしくなぞり、指を絡め、緊張をほぐすように揉みほぐしてくる。


「ねぇ、初音。俺のこと、どう思ってる?」


「大好き」



口にしながら、胸の奥で静かに理解していた。


――もともと、「透青様」という存在はどこにもいなかったのだ。

身体だけがそこにあり、空っぽの器の中に入っていたのは、ずっと秀青さんだったのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。