手紙の内容
一日大学を休んで、事前にお伺いの連絡をして本家のハザマ様(透青様)にお会いしにいった。
通された部屋で待っていると、浅葱色の袴に身を包んだ巫姿の正装で、透青様が現れる。
「やあ、久しぶり。無事だった様だな。」
「本当の意味で助けてくださったのは、透青様なんでしょう?秀青さんにあてた手紙の中身は、私が襲われることが書いてあったんですよね?」
「あぁ。事態はそんな簡単じゃない。黒幕は他にいてだな。女性によって男をけしかけられたんだ」
女性の嫉妬で私は襲われた?
まさか、あの沙藤美麗?
「いや、その子ではない。」
(うっ、また心読まれた。嫌だってのに!もうっ!)
「じゃ、誰なんですか?」と透青様に詰め寄ると
「今は話せない。」
「沙藤美麗のような子はキノコで例えると…だ、紅テングダケだ。毒が有ると知らせてくれる親切な毒キノコだ。しかし、今回の真の犯人はツキヨダケのような女性だな。」
一見、毒が無いように見える毒キノコ……
そんな人が私の周りにいるんだ。
怖くなったが、私には透青様というチート能力者がついてる!ふっと、心の中が暖かくなった。
「……ということは」 私はある事実に気がつき、パッと顔を上げた。
「秀青さんが私に冷たくなったのは、私を嫉妬から守るためだったんですね、あぁ、良かったあ!うふ、そうよね、仲が悪くなる理由なかったもの。」
心の中でくすぶっていた不安が晴れ、思わず本音が口をついて出る。
透青様は急にシビアな表情になり
「そもそもだ。あれの愛想の良さが一番の原因なんだ。秀青が今回の件を引き起こしたと言っていいぐらいだ。なまじ顔が良いと普段の振る舞いも難しくなる……苦労するよな、顔が良い男というのは」
(……遠回しに自分の顔の良さをアピールしてる……?)
心の中でジト目を向ける私に、透青様はふっと口角を上げ、悪戯っぽく目を細めた。
「……初音は、キノコで言うと、なめこだ」
「触るとぬめぬめしてくる。」
唐突な言葉の意味を理解した瞬間、カッと顔が熱くなった。
「~ッ! もうっ、帰ります!!」
ぷんぷんと怒って背を向け、部屋を出ようとする。けれど敷居を跨ぐ直前でふと立ち止まり、振り返って深く頭を下げた。
「……透青様。今回のこと、本当にありがとうございました」
感謝を伝えると、私は逃げるようにその場をあとにした。




