↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/38

昭和の良識 vs 平成男子の我儘

お役目様とハザマ様の二人に見つかってしまい、私は観念して姿を現すしかなかった。

 

「聞こえていたのなら、話が早い」

ハザマ様に促され、私はその部屋へと足を踏み入れた。

通されたのは、驚くほど殺風景な部屋だった。置いてあるのは筆記用具とノートパソコンくらいで、外出用のカバンすら見当たらない。

 

生活感がまるで感じられない空間に、余計に緊張が高まる。

「あの……その、つまり……。私のところに毎晩やってきていたあの霊というのは……」

 

思い切って問いかけると。

 

「私だ」

ハザマ様、即答。

 

「……!!」

 

頭が真っ白になり、言葉が出ない。

なんで? なんでなんで??

混乱する私をよそに、ハザマ様は淡々と言い放つ。

 

「他の男に触れられる前に自分のものにしたかった」

 

「だからといって、嫁入り前の娘にそんな真似をするなど許されません!」

お役目様、パーフェクトに正論。


だが、ハザマ様はぷいっと私から視線を逸らすと、事もなげに呟いた。


「……嫌がってなかった。むしろ喜んでたろ」

 

(それをここで言うなああああぁぁぁぁ!!)


心の中で絶叫する。


まさに「昭和の良識」対「平成男子の我儘」といった口論だ。


顔が一瞬で爆発しそうなくらい真っ赤になり、金魚のように口をパクパクさせるのが精一杯で、まともな反論すら出てこない。

 

「初音、この透青(とうせい)はそういう男です。あなたがはっきり拒絶しないと、どこまでも図々しくつけ込んできますよ」

 

呆れたように溜め息をつくお役目様の言葉に背中を押され、私は意を決して本心を吐き出した。


「秀青さんと疎遠になって寂しかったから、流されるままにしていただけなんです……。ハザマ様にただ寄り添っていただけるだけで、心は十分癒やされています。だから……もうあの部分は触らないでください」


「……わかった」

拍子抜けするほど素直に、ハザマ様は頷いた。

 

ふと気づけば、部屋の外からはざわざわと人々の話し声が漏れ聞こえていた。この破天荒な口論を聞きつけた親戚たちが集まってしまい、ちょっとした騒ぎになっているらしい。

 

「あのハザマ様が、お役目様に真っ向から意見するなんて……」

 

障子越しに聞こえる驚きの声を耳にしながら、私は恥ずかしさのあまり、その場に崩れ落ちそうになっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。