災いを予言する五枚の便箋
森林公園の中にある、テラス席のついた喫茶店に入り、さっそく封筒を開けることにした。
「男からの手紙だったら、まったく嬉しくないけどな」
そうぼやきながら、秀青さんは私が注文したホットケーキのナイフを使い、ペーパーナイフ代わりに器用に封を切った。
中から出てきたのは、五枚ほどの便箋だった。
文字を追い、読み進めていった彼は少しずつ目を見開き、驚きから一転して、やがて呆然とした表情へと変わっていった。
「…………」
秀青さんが絶句している。
「何が書いてあったの?」
「……予言みたいなもの、かな」
「どんな……?」
聞きかけて、私は口をつぐんだ。彼の深刻そうな顔を見ていたら、これ以上踏み込んではいけない気がしたのだ。
「……やっぱ、話さなくていいや」
無理に聞き出すのはよくない。しばらく沈黙が流れ、私は黙々とホットケーキを口に運んだ。あまり良くない内容が書かれていたことくらいは、容易に想像がつく。
「何か、ショックなことが書いてあったんだってわかるよ。今日はゆっくり休んで。また、連絡す……」
言いかけた私の言葉を遮るように、彼が少し身を乗り出して言った。
「待ってくれ。……予言なんて、当たったためしがないだろ? うちの親なんてノストラダムス世代で壮大に騙されたし、2025年の7月にも大災難は来なかったじゃないか」
(秀青さん、意外とオカルトに詳しいな……)
「それに、もし予言通りになったとしても、別に最悪な事態になるわけじゃないんだ」
「……?」
「……だから、もう少し一緒にいよう。日曜日しか逢えないんだし」
そんな切なそうな顔で言われては、断れるはずもない。私は顔が熱くなるのを覚えた。
何か気持ちの切り替えができたのか、そのあとは二人でボートに乗ったり、手を繋いで森を散策したりした。珍しい草花を眺めながら、のんびりと穏やかな時間を過ごした。




