73話 神の血筋(フィニアス視点)
「お前が、東方の銀の森の生まれだと言うのは本当か?」
女王は、なにが知りたい……?
俺は、慎重に答える。
俺がなにも答えずにいると、再び、手が拘束された。
あたりが暗くなる。
背中に鋭い痛みが走る。
「わたくしは、気が長くないの。
早く言いなさい」
「俺の素性くらい、とっくに調べあげてるんだろ?」
もう一度、背中に衝撃。
「わかったよ、銀の森のエル・ロイル家の当主は俺の従兄だよ!」
「神の血筋なんて、名乗ってるらしいわね?」
「信じてねーな! 名乗ってるんじゃなくて、本当に直系の血筋なんだ」
女王は、俺の顔を凝視した。
「神は存在するの?」
「当たり前だろ」
なにを言っているんだ?
「人間界に血筋の者がいるーー人間の世界に神が来た証拠だわ」
「なにを当たり前のことをーー」
今度は頬が、何かに切りつけられた。
「どうやったら、神を呼べるのかしらね」
不気味に笑う女王。
扇を広げて、扇いでいた。
悪い空気が、余計に不味くなる。
「あんた……こんなことして、絶対に後悔するぜーー俺の相棒は、命知らずな無敵だからな」
背中に四、五発の空気が裂けた音がする。
……つっ
皮膚が破れる。
裂傷がいくつかできてる。
そのとき、頭のなかに声が聞こえた。
いつかのときと同じだ
《フィニ》
「リ……」
《これ以上は、あなたの命に関わりますーー正解を言ってください》
「助けに来てくれたのか」
《ワタシにも無関係なことではありません。決着をつけます》
リリベットの声は、どこか悲しげだった。




