第7話 竜の覚醒
「神殿に連絡するったら、連絡だ」
フィニアスは、彼女の異様な白さと、整いすぎた顔立ちで、竜だと確信したようだ。
「竜の心臓は、最高金貨何十枚の価値があるんだぜ。遊んで暮らせるぜ」
「少しは、竜の気持ちになってください」
ワタシは、フィニアスを一喝した。
「心臓を奪われた竜はーー
自由に動けません。
その相手に、支配される」
「ペットにできるじゃん」
「フィニーー」
フィニアスは、首をすくめた。
「エリーならーーそんなことは言わなかったと思うぜ……」
ワタシの胸が、チクリと痛んだ。
ーーそうだ。
昔のワタシなら、何も言わなかった。
フィニアスに対しても、寛容だったと思う。
ーーでも、できない。
ーー人の感情は、もう《出てこない》。
ワタシは、彼女のそばに行き、容体の様子を見た。
深く眠っている。
――よほど疲れていたのか。
それとも、逃げ回っていたのか。
フィニアスには、しばらく口を出させないようにして、もう一つのベッドに転がした。
竜を見つけて舞い上がっているが、自分だって神殿に追われる身だ。忘れているのだろう。
それに、心臓を取ると言っても、S級の大地の魔法使いがいなければ無理な話だ。
ーーつまり、この男ひとりでは、何もできない。
やがて、竜の娘が目を覚ました。
『ここは……?』
古代レトア語で話した。
『アルテアの宿です』
少女は、ワタシを見ながら言った、
『あなたが助けてくれたの?』
『そうよ、ワタシはリリベット・モルガン』
『そう? あなたは、人間ではないのでしょうーー』
ーー驚いた。
最初から、見抜かれてくるとは……




