第69話 黒魔術に狙われるフィニアス
「黒魔術師の総元締めは、アルデバランの女王です」
ワタシは、声を低くして言った。
もう、黙っていられない。
フィニアスを狙う包囲網が、どんどん広くなっている。
それはーー黒魔術に侵されている地域が増えて行ってることになる。
銀の森のリドムの葉が、目の端で揺れる。
神殿だって黙っていないだろう。
光と闇の空気が張りつめている。
「あの人は、あなたを諦めませんよ」
フィニアスは、息を呑む。
「だからーー俺がなにをしたんだよ」
ワタシは、息を吐きながら。
「エリアードを殺したでしょう?」
フィニアスは、額に汗を滲ませていた。
「アルデバランの女王はーーエリアードの母親です」
ワタシは、いっそう声を落とした。
「お前は、王子だったのか?」
……気になるのはそこなのか?
舌打ちしつつ、続ける。
「いいえ、後継問題で母が王位を継いだにすぎません」
「それが……リリベットーーお前とどう繋がっているんだ?」
フィニアスの顔から赤身がなくなっている。
少し鼓動も早くなってる。
ワタシは、フィニアスの胸に手をかざす。
ほんのリ、銀色の光がともる。
「お前、なんでそんなに万能なんだ?」
ワタシは、一拍。
「地上に降りるまでに、いろいろな力に干渉されました」
フィニアスの目が、点になる。
ワタシは、無機質に続ける。
事実だけを。
事後報告のように。
「女王は、エリアードの魂を回収しようとして、失敗したんです」
「ワタシを先に発見したのは、神殿のほうでした」
東方の風が揺れる。
聖地からの風が。
私たちの存在を許していないように。




