第57話 爆弾宣言
魔法指南といっても幼児にだ……
大したことないだろう。
相手は、《《あの》》リリベットとはいえ、三歳の幼女だ。
しかも、ここは、神殿の支配下区域外の辺境伯の領地。
砂漠化の進んだ荒野だ。
なのに、心地よい風が吹く。
領内の実りが良い。
ここだけ風がちがう。
次の日、俺は、中庭に立っていた。
中庭の陽当たりの良い場所。
季節の花が、風に揺られていた。
リリベットは、焦点の合わない目でそれを見つめる。
何を教えろって言うんだよー!
風の奥方を、従えさせてるやつに。
リリベットは、花壇の花に近づいて、手を伸ばした。
そのまま、見たことのない魔方陣をだす。
その瞬間ーー
空間が歪んだ。
花があっという間に枯れる。
次の瞬間。
リリベットの前に、風が吹く。
<それは、使ってはいけない力ですわ>
風の奥方の声。
声が乱れている。
「リリベット、今のどこで覚えたんだ?」
「知らないけど、知ってた」
リリベットは、なにも見ていない瞳で、顔だけ上げる。
<リリベットさま、あれは闇に属する術です。触れてはいけません>
「そうなの?」
え?
なんだ!?
無自覚ーー
こんな、術式見たことないぞ。
「奥方……あの魔術は、逆の作用もあるのか?」
<そうですわね>
俺は、足元から崩れた。
あんな、力を持つ魔法使い。
見たことがない。
術式が違う。
神殿に知られたらーー
教育され。
使い倒され
術式を研究するために、解剖されるかも……
俺の仕事は、規格外の魔法使いを、制御させるくこと……?
「やっと、会えましたね。フィニ」
風にのって、エリアードの声が聞こえた気がした。
声がしたほうに顔を向ける。
風か止まる。
「リリベット……?」
無機質な顔と目があった。
「あのときもにげましたね?」
俺は、目眩がした。




