第五話 竜拾いました
ワタシは、すぐに男たちの中心に行ってみた。
そこには、十五歳くらいのとても綺麗な女の子が、みすぼらしい格好で倒れていた。
不自然なほどに……
「ジャン! この子をワタシの部屋に運んで欲しいです」
男たちの中で、一番体格のいいジャンは、驚いていた。
昔、一度だけ、喋ったことはある。
だが、この姿になってからは初めてだ。
「俺の名前をよく知ってるなあ」
「あなたも、フィニの犠牲者でしょう」
そう言うと、ジャンは赤くなって言うことを聞いてくれた。
「なんで、知ってるんだよ……チビのクセに」
ゴニョゴニョ言いながらも、運んでくれた。
「この子、すごく弱ってます。とにかくピク草を沢山持ってきてください」
一同はどよめく。
無理もない、ピク草は毒薬だ。
口に入れれば死ぬ ーーでも、一刻を争った。
「ワタシのもとに持ってきてくれた人には、金貨一枚と交換します」
ジャンは、宿のベッドまで少女を運んでくれた。
「治療士を呼んだ方が早くないか」
と、言ってきたが、ワタシは、聞かないフリをした。
ーー古代レトア語を話す……
魔族か、精霊か……それともーー
光の匂いがする。
ーー多分竜族だと思う。
ワタシは、隠し持っていた金貨を惜しげもなくピク草に替えていく。
他の人間に、近づかないように言て、ジャンを部屋から出した。
ワタシは、結界を張って、ピク草を煮詰めた。
……この量の毒薬があったら、この街は全滅だなーーと思いながら。
仕方ない。
人間には毒薬でも、竜には滋養になるんだ。
ワタシは、少女の口をこじ開けて妖しい色の液体を流し込んだ。
程なく、少女は寝息を立て始めた。ーー楽になったらしい。
それにしても、こんな町中に竜が現れるなんて……
フィニアスが帰ったら、はやくここを離れるのが得策だ……
ーーそれにしても、フィニアス!!
今は、早く戻れ!!




