第4話 フィニアスのくずッぷり
ギルド直営の宿屋は安い。
その代わり、他人と相部屋だ。
ベッドも硬い。
男臭さマックスなのだ。
フィニアスは、もともと育ちも良いらしい。ワタシをダシにして、いつも上級宿に泊まっている。
そして、夜中に姿を消すのだ。
はっちゃけた、その嗜好は、まだ治っていない。
人を一人、死に追いやって変わらないとはーー
いつもの宿に泊まろうとして、宿代が足りないことに気づく。
今日クエストは失敗に終わった。
毎日高級宿に泊まって、
毎日のように飲みに行って、その続きもあれば。
ーーいくらフィニアスがS級の冒険者でも、お金は尽きるというものだ。
それでもフィニアスは、ワタシに手を出してくる。
「今夜は、この宿で我慢しろ」
「俺は外へ行く。金をよこせ」
ワタシは、泣きたい気分だった。
よくも、こんな変態と九年間もコンビを組んで、冒険者をしていたものだ。
「残念ながら、今晩の晩酌代すらありませんよ」
「なに!? 嘘だろ!!ーー俺はS級の冒険者なのに!!」
「神殿から、見張られてることもお忘れなく」
「もういい!!」
それでもフィニアスは、ワタシにお金をせびって、首にかけてあったがま口財布を取り上げて、部屋から出ていってしまった。
ーーパタン!!
扉を思い切り閉めていった。
ワタシは、ため息ををついて、ベッドによじ登って腰かけた。
寝てしまおうかと、ドレスを脱ぎかけたときに……
ーー聞こえる。
人ならざるものの『声』ーー
ワタシは、あわてて宿の外に出た。
ギルドの男衆が、人だかりになっていた。
その中心にいたのは、淡い金髪をした少女だった。
『助けて……』
少女の言葉は、人間には理解されない。
失われた言語だ。
ーー何者? まさか……あり得ない!!




