表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼女育成任務に名前のない風竜がついてきた!  作者: 月杜円香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/67

第39話 リンシャー王子のつけた真名

『お前の名前は、レイゼットだろう!! ここにそう書いてある!』


 フィニアスが、声を張り上げる。


 ……ほんとうに、こういう時は張り切る。


 風が、揺れた。

 彼の頬を、かすめるように通り過ぎるつむじ風。

 軽いのに、冷たい。

 拒絶の風。


「フィニアス、それは違います」

 

 ワタシは、静かに言った。


「それは、リンシャー王子がつけた名前です」


「へ!?」


 間の抜けた声。

 けれど、今は構っていられない。


「そもそも、人間のつけた名前を……古竜であるイーグが受け取るはずがありません」


 言い切る。

 けれど、その言葉の奥で、わずかな引っかかりが残る。

 風の奥方は言った。

 ーーすべては、イーグの中にある、と。

 外から与えるものではない。


 思い出すのも、受け取るのも、イーグ次第。


「エイルは、現れました」


 砂の影。

 あれは確かに、ここに来た。


「なら、残っているのは……」


 視線を、イーグへ向ける。

 彼女は、紙の束を抱えたまま、じっとしている。

 意味は分かっているはずなのに。

 それでも、届いていない。


「何が、彼女の記憶を封じているのでしょうか」


 呟きは、風に溶けた。

 イーグは、長い間。

 アルテアの田舎町にいた。

 誰にも気づかれないように。

 隠れるように。

 いつからかも、分からないほど昔から。

 そして、言っていた。

 神殿に追われて、町を出た、と。

 風が、わずかに鳴る。

 逃げていたのか。

 それともーー

 近づかせなかったのか。

 ワタシは、目を細める。

 神殿。

 その言葉だけが、やけに重く残る。

 イーグの内側に触れた存在。

 唯一、外から干渉し得たもの。

 ……いや。

 本当にそうか?

 風が、ゆっくりと巡る。

 何かが、繋がりかけている。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ