第33話 フィニアス視点(1)
フィニアス視点
ーーいったい、いつまで古竜と茶番劇を続けるつもりだ。
リリベットのやつ……。
最近は、まったく言い返せない。
半年前までは、お人形みたいに大人しかったくせに。
今じゃ、精霊も使わずに空を飛ぶ。
闇にまで干渉する。
ーーわけがわからん。
そのくせ、金は全部搾り取る。ドケチだ。
今回だって、魔族の巣痕の調査を終えたばかりなのにーー
俺は、さっさと追い出された。
古竜なんて、神殿に渡せば楽になれるだろうに。
どうして、わざわざ厄災を抱え込む。
ーーまあいい。
俺は風の貴婦人を、銀の森の方角へ向かわせた。
だがーー
おかしい。
進んでいる気がしない。
顔に風が当たらない。
——上位の風の貴婦人だぞ?
《そのまま行けば東方です。あなたの行き先は西域ですよ》
声がした。
風に乗って、感情のない幼い声が届く。
視線を落とす。
銀髪に、細い金の糸が一本、絡んでいた。
「……じゃなくて、待ち合わせしてるんだよ」
《神殿の犬でしょう?》
「違う!! お前も知ってるだろ……ヴァレリア・ドレイク」
《ドレイクーーアルデバラン出身の魔法使いですね》
ヴァレリア・ドレイク。通称ヴァル。
もともとは大地の精霊と契約していたが、去年—ーー風の奥方と契約した。
そのせいで神殿に目をつけられ、ギルドの仕事も減ったらしい。
ーークエストの時、久しぶりに会った。
「フィニ、誰と糸電話をしている?」
胸が跳ねた。
「ヴァル!!」
「待ちくたびれて、こっちから来てやったぞ」
ヴァレリア・ドレイク。
その頭上には、上品な奥方の姿が浮かんでいた。
ーーこれが、最高位の精霊。
イーグとは違う圧がある。




