第31話 安定した風
『あなたに、本当のことを言います』
イーグは、首をかしげてワタシを見る。
『やはりエイルは、神殿のものです』
フィニアスが、慌ててワタシの口を塞ごうとした。手を噛むワタシ。
「いだーーっっ」
フィニアスの雄叫びだけが、湿った空気に溶け込む。
「おい!! そんなことを言ったら、またーー」
「念のために、あなたは避難しててくださいね」
「お前は?」
「死なないです」
ワタシは、フィニアスを風の貴婦人に守らる。
改めて、イーグを見た。
『なあに?』
イーグの問いにワタシは、一拍置く。
『あなたのエイルは、間違えなく神殿の者です』
『でも……』
『証拠もありますよ』
断言できる証拠は、これしかない。
『証拠……?』
『エイルとは、話していましたか?』
『ええ。 エイルが私に名前をつけてくれると言ったのよ』でも
イーグは、遠い目になる
無自覚だったのか……
『あなたは、竜です。レトア語しか、話せないでしょう?』
一拍。
『一介の配達人が、古代レトア語を話せるはずがないです』
『嘘よーーそんなこと』
……次の瞬間、来ると思った。
来た。
渦巻く風。
何もかも、吹き飛ばしそうな風が舞い上がった。
ーーでも、先ほどまでとは違う。
ーー安定している。
『エイルは……何者なの?』
風の中心で、イーグが言う。
『ーーそれはワタシにもわかりません
でも、それを探しにここまで来ました』
ワタシは、もう少し、イーグ安定を確認したほうがよいと思った。




