第28話 フィニアスの帰還
ワタシが、イーグを浮かせて、ベッドに運ぶ。
今度は、結界の外から衝撃があった。
ーー上だ。
神殿の魔法使い?
今日はマークスが来たばかりなのに?
ワタシは、首をひねる。
小屋の外へ出て、衝撃のあった場所まで見に行く。
フィニアスじゃないか!!
バカだなーー
あれほど地上ら帰ってこいと言ったのに。
彼の契約聖霊風の貴婦人が、心配そうに失神したフィニアスを見下ろしていた。
ワタシは、癒しの術で手当てをする。
今回は、結界にへばりつくように気を失っていたので、あとは手を貸さなくても降りれるだろう。
ーーほどなくフィニアスは、目を覚ます。
「……何度、同じことをするんですか? くれぐれも地上から帰れば、結界はあなたを弾きませんのに」
「あ……リリベット……そんな暇は、ないんだ。あの古竜を神殿に渡すんだ!! 今すぐ」
「……古竜? フィニ。あなたなにか神殿と取引してきましたね?」
古竜は、古き竜の別名だ。
普通の竜は、そんな呼び方はされない。
フィニアスは、クエストに行っていた。
ーーそこで、神殿の者と会ってイーグのことを古き竜だと教えられた可能性が高い。
「あいつは、ヤバいって!!
俺らの力では押させられないぜ」
フィニアスの綺麗な顔が、腫れ上がって無惨なことになっている。
「のりかかった船です。イーグが真名を受け取るまで待ちますよ」
「そんなことをしたら、俺は、一生銀の森に帰れないんだけど……」
「あなたの罪は、それだけではありません。
ワタシを殺した罪もあります。
母は、あなたを許すつもりはないのですからーー」
フィニアスは、結界の上で座り込む。
ワタシは、その上に浮かんでいた。
「今は、イーグを安定させて、名前を受け取らせることが先決です」
「お前は、魔族の巣の惨状を見てないからーー本当に何も残っていなかったぞ。
災害だぞ。あれは……魔族も何もいなかった」
慌てて話すフィニアス。
ワタシは、いつもの通りに聞く。
「ワタシが、イーグと約束しました」
「……もうすぐ奴らが来るんだ!! 神殿の奴らが来る。古竜を捕まえに」
珍しく、フィニアスが引かない。
ーーワタシを本気で心配してくれている
胸が軋んだ
……心配してくれているのはわかっている。
わかっているのに譲れない。
ーーあの時、手を取ってしまったのはワタシなのだから。




