第25話 マークス再来
一週間後、また、結界の外がうるさいので、見に行く。
茶色の外套の男ーーマークス・セインが、結界に何度もぶち当たっていた。
何度阻まれても、進もうとしている。
懲りない奴だーー
「また、あなたですか?」
「これで最後だ。この皮紙の束を受けとれ! そうしたら俺は帰る」
前と態度が違う?
気がついたのか……
この圧。
少しだけ、込めた闇の力。
光の神殿の手先なら、なにか気づくはずーー
「ーーここに……いるんだろう……
二百年行方のわからなかった、名前のない古代種の竜が!」
古代種? 神話レベルの話だぞ。
今の竜族よりさらに、古い種族の個体? イーグが?
「扱いを間違えると、お前も命はないぞ」
ワタシは、もう一度小屋に目をやる。
その時、マークスがワタシに言った。
「神殿がお前と取引したいと言ってる」
取引?
「何でしょう?」
「名前のない竜を、神殿に渡せ。お前のことは、アルデバランの母親もとへ送ろう」
「古代種の竜と言えばーー災害級に危ない種類です。神殿が御せるのですか?」
「お前だって、まだ母親の恋しい年だ。フィニアスみたいな奴と暮らさなくてもいいんだぞ」
「ここで母は、関係ありません」
ワタシをこの世に、よみがえらせた女ーー関係ない。
今は。
イーグの存在を安定させること。
それが、今の最優先だ。
古代種であるならなおのこと。
今確、認されている古代種の竜は、神殿でもいないだろう。
ワタシは、結界を少し解いてた。
マークスの持っていた鞄ごと受け取る。
中を見ると、いるいろなものが入っていた。
その中に、キラリと光る水晶玉を見つけた。
「あなたは、ベルナール氏の使いですか? 神殿の斥候ですか?」
マークスは、周れ右して、駆け出した。
風だ。
いつになく圧のある風
神官の彼にはわかったのだろう。
竜の存在のすごさに。
逃げていった。




