第24話 砂風の来訪
ーー二百年前から、神殿はイーグの存在にきっいていた?
なのになぜこの二百年、イーグは捕まらなかったのか……
魔族の巣を破壊して、逃げてきたようだがーー
ふと、風が変わる。
イーグの歌が、変わったのだ。
これはーー古代の招き歌。
竜が、知ってるなんて。
驚いた。
風が結界の中を吹き荒れる。
砂の混じった乾いた風。
ワタシは、ベルナール氏との連絡を遮断する。
なにかが、家の中にいる。
イーグも、驚いていた。
気配はある。
でも、形はない。
『歌をやめないでください。イーグ』
ワタシは、それだけ言う。
玄関のところに現れた《《なにか》》は、人の形を取ろうとしていた。
追ってきたーー?
ここまで?
『イー……』
『エイ……?』
『だめです!! イーグ。言葉を聞いてはいけません』
彼は二百年前に死んでいる。
執念で魂だけが、理の世界に存在している。
近づくのは危なすぎる。
あちらがわに飛ばされる可能性もある。
『受け……』
男は、砂で輪郭をなぞるように、人型をとる。
ワタシは、息をのんだ。
イーグは、首をかしげながら、砂の男へ近づいていく。
ーーワタシは、思いつく限りの、浄化と退散の魔法の呪文を口にした。
『イーグ!! いつもの歌を歌ってください』
イーグは、『でも……』と躊躇っている。
『あなたの真名は、ワタシがちゃんと渡しますーー約束しましたね』
イーグは、歌を変えた。
少し残念そうに。
何かを受け取ろうとした手が空に残る。
先ほどまでの重い空気がなくなった。
乾いた風もない。
穏やかな心地よい風だ。
ワタシは、小屋中に、浄化魔法をかけ直しておいた。
あんなものが、イーグを追ってくるとはーー




