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幼女育成任務に名前のない風竜がついてきた!  作者: 月杜円香


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第21話 揺らぎ

 三日たってーー

 ワタシは、一日に二度ほど結界の補強に時間をとられていた。


 全部内側からのものだ。


 この結界は、神殿所属のS級の魔法使いが来ても、簡単には破れない。


 水と大地の魔法で練り上げている。

 それに、闇の力も入れてある。

 普通の光の魔法使いは、たどりつけないはずーー


 でも、結界は軋む。

 内側から。


 原因はイーグしか考えられない。

 仮の名前を受け取った……

 だが、ずっと不安定なままだ。


 心地よい風が吹いているかと思うと、急に窓が、ひとりでに空く。

 小屋が何度も軋む。


 この度に、イーグの名を呼ぶ


「おい!! リリベット、いつまでこんなところにいるんだよ。金失くなるじゃん!」


 グッドタイミング。

 フィニアス。


「明日から、一人でクエストに行ってください」


 フィニアスは、眉をひそめてワタシを見る。


「一人で行っていいのか? リリベットちゃん」


 語尾にハートマークがついてそうだ。


「場所は、南方のゴンガガ地方。魔族の巣のあと調査です」


「竜巻があったばっかりの場所だろ?」


「恐いのですか?」


 ワタシは、下からフィニアスを見上げた。


「バカ言え!! 危険なクエストなんだから、任務終わってもしばらく帰らないからな」


 早速、遊ぶ算段か……


「あいにく、クエスト代は前金でもらってますのでーー

 明日までに支度を。

 竜巻の被害の調査が今回のクエストです」


 フィニアスは、もっと眉をつり上げて、


「なんで、毎度、毎度、先の手を使うんだよ。ーー二年前までは、ただの可愛らしいリリベットちゃんだったのに!」


 急に、泣き落としになる。


 二年前のワタシ?

 まだ、能力に目覚めてなかっただけ。

 自分の存在を認識していなかっただけのこと。


 窓の隣に置かれた姿見ーー

 半年前と寸分変わらぬ自分がいる。


 金色の巻き毛も、青い瞳もエリアードと同じものだ。


 だが、ワタシにあるのは、前世の記憶と理の外にあるものとの約束……


 イーグは、ワタシと似ているのか?


 ワタシは、金貨一枚を手に移動させた。


「いつも、頑張ってくれますから今回は豪遊してください。

 ただし、クエストのあとですよ」


 フィニアスの顔が一気にほころんだ。

 素材は悪くない。

 まともな嗜好をしていたら、ベルナール氏の側近にだってなれたろうに。

 残念な男だ。


 さて、これでフィニアスをイーグからしばらくの間、遠ざけることができる。


 その間に、ベルナール氏が何かを掴んでくれればいいが……




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