第19話 謎の配達人
ワタシは、外から結界の固さを確める。
空中から、幾度となく衝撃波を落とす。
「ミシッ」
やはり完璧なものはできない。
補強をする。
これを繰り返した。
やっと、完成した頃だ。
フィニアスが出てきた。
「リリベット。金!」
「どうぞ、銅貨三枚です」
ワタシは、手の中に銅貨を移動させる。
それをフィニアスに渡した。
「あなたを縛る気はありません」
「魔法の匂いがプンプンしてるじゃないか! 変な匂いもまじってるぜ」
さすがは、ベルナール氏の従弟だけあるな。
神の血筋は、伊達じゃない。
匂いで見分けるとは、フィニアスらしい。
「銅貨でどうやって、遊ぶんだ?」
「この村の酒場くらいなら十分です。それよりーー」
一拍おく。
「イーグは、どうしてます?」
「歌を歌ってるぜ。意味がさっぱりわからん。少しイントネーションも変だな」
「彼女は、生きた歴史みたいなものです」
「竜は長生きだからな」
フィニアスは、あきらめて銅貨をもって結界の外に出ていく。
結界は、彼を拒まない。
外からの監視や、衝撃に対抗するようになっている。
フィニアスは、拒まない。
稼いでくるのは、フィニアスだから。
結界の中は、イーグの心地よい風で満たされていた。
ほんの少し混ぜた闇の気配も消してくれる。
それにしてもーー
気になることがある。
ワタシは、小屋に戻る。
窓の外を見ながら、歌を歌うイーグに聞く。
『イーグ、エイルとは誰です』
イーグは、歌を止めた。
風が止まった。
『……どうして、その名前を知ってるの?』
ワタシは、言葉に詰まる。
聞き返されるとはーー
『よくは知らないけれど……あなたの追っていた人の姿はーー神殿所属の監査官です』
『神殿所属? エイルが?』
そのとたん、彼女の顔が弾けた。
風が、揺れる。
『嘘よ。エイルは、ただの配達人よ』
な……
笑うイーグ。
間違えるはずはないーー
あれは、確かに神殿の関係者のはず。
『いつも、手紙を届けてくれるの』
『誰からの手紙ですか?』
『さあ? 誰からかしら? でも、毎日届けてくれたわ』
なんだろうーー
ズレを感じる。
差出人よりも、配達人を覚えてる……?




