第15話 その頃のフィニアス
フィニアス視点
今日の酒は、ちっとも酔えねえ。
安いせいか……?
俺は、ポケットの銀貨に手をやる。
本当に銀貨を二枚って、どういうことだ!?
稼いでいるのは、俺なのにーー
……いつもリリベッドに、搾取されてしまう。
「くそーー!!」
叫びながら、もう一杯酒を頼んだ。
胸が、ざわざわする。
余計に面白くない。
出された二杯目の酒を一気飲みする。
「機嫌が悪そうだね。フイニ」
俺の心臓は、跳ねた。
振り返ると、懐かしい顔があった。
長髪の銀髪、優しい銀色の瞳。
その儚げな外見を裏切る逞しい体躯。
「ベルナール!!」
俺の一族の本家の当主だ。
「今は、S級の冒険者だってね?
神の血は、冒険者にも向いてるとはね」
俺は、下を向いた。
まともに、彼の顔を見られない。
なぜならーー
「ところで、君が押し付けられた女の子は、元気かい?」
「なんで、リリベットのことをーー」
「きみのやらかしは、全部銀の森に届くようになってる」
なにーー!?
ベルナールは、俺に近づいてきて言った。
「きみは、神殿ともう一人からも見張られてるよ。
誰だろうね。この金色の極細の糸」
それを聞いて、俺は三杯目の酒を頼んでしまった。
神殿は、分かる。リリベットの件があるからなーー
……もう一つは、予想がつくぜ!
クソガキが!!
「きみへの監視は、八年前からだよ?」
それって……
「そうそう、フイニが僕を押し倒して追放になった後からだよ」
ベルナールは、あの日と同じ笑顔で笑う。
初恋だったのにーー
「ーーところでさ、フィニ。竜を知らないかな?」
俺は、三杯目のグラスを落としてしまった。
「なんで……?」
「神殿が、観測している魔族の城から大きな力が動いたんだ。
それが、このアルテア付近で、終息したんだよ」
光の神殿の連中は、こういうことの確認は魔法使いにやらせる。
ーーベルナールは、本家の当主でありながら、率先して動くタイプなのだ。
「知ってるんだね? フィニ」
アップが怖いです、ベルナール。




