第14話 幻を追いかけていった竜
『ーーイーグ!! どこです? いるのなら返事をしてください』
大声で怒鳴ったが、かえってくる言葉はなかった。
一体、何があったのだーー?
考えている暇はない。
禁忌の方法を使おう。
もしかしたら、今度こそ神殿にバレるかもしれない……
ーーそれでも。
イーグを一人にしておけない。
ワタシは、月明かりが浮かぶ窓まで移動した。
『我が名前を名付けし、イーグは、今いずこか?』
古代レトア語で、呼んでみる。
すると、一筋の金色の道が現れた。
それから、微かな風の揺らぎも。
フィニアスのことも気になったが、今はイーグのことが先決だ。
ワタシは、その道を追うように外に出る。そして、跳ねた。
風が、ワタシをしっかり抱きしめてくれる。
道は、どんどん南下している。
南方には、大陸を追われた魔族の棲みかがあると聞いているがーー
その魔族の巣から、逃れてきたのではないのか?
やがてーー前方にイーグが現れた。
導かれるようにと飛んでいる……
力なく、よろよろと今にも落下しそうだ。
良く見ると、イーグの前には、透けた出で立ちの男が、砂漠を旅する格好でいた。
大きな鞄を斜めがけにしている。
ーー何者だ?
イーグは、一生懸命その人に追い付こうとしていた。
だが、追い付けない。
『エイル、待って!! 私よ』
ワタシは、イーグに追い付いた。
そして、本当のことを話す。
『むだよ、彼はもうこの世の人ではない。
ーー彼がここにいるのは、強い思いを遺したからです』
『ーーエイルが、私の真名を知ってるの。
私に名前をつけてくれると言ったの』
イーグの真名を知る人物?
イーグは、泣きながら、ワタシに打ち明けてきた。
『それはいつの話しです?』
『分からない……』
イーグは、力なく首を振る。
ワタシたちは、空中から砂漠を歩くエイルの影の行く先を見つめていた。
身体は存在しない。
だが、砂漠の乾いた風を気にせず、確かな足取りで進んで行く。
ワタシは、じっと彼を見て、分かってしまった。
『あの人は、亡くなって二百年はたってる』
『そんなーー』




