第13話 アルテアの夜
ワタシとフィニアスが、魔獸の氷漬けを持ってギルドに、ついたのは、夕刻だった。
この前の買取り商人に、持っていった。
首がついていれば、剥製にできたと言われた。
ーーなんだよ。
「毛皮が目的ですよね? 前身そろってますよ」
「氷漬けだから、肉も取れるんじゃないですか?」
「誰が魔獸の肉なんか食べるか!」
ワタシは、この世の中のことならなんでも知っている。
「知らないんですか? 暗黒時代は貴重なたんぱく源でしたよ」
ちょっと、癖ありな肉なので、今はジビエの店で、稀にしか出てこないのだ。
商人は、ワタシとのやり取りで、肉も手に入れたくなったらしい。
最高金貨二枚と、金貨を五枚で取引してくれた。
ーーちょろい。
両替して、銀貨二枚をフィニアスに渡す。
「あれは、俺のクエストだぞ!!」
「あなたは、銀貨二枚分の働きしかしてません。
あれは、イーグがしたことです」
「新しいドレスを買ってやるから」
「それはーー当然ですね」
ワタシは、フィニアスとともに夕食を済ませて、衣料店へと急ぐ。
採寸をすると、半年前と全く変わっていない。
店主が不思議がっていた。
理の外にいるワタシだ。
人間には、分からないだろう。
人に見られぬように笑う。
フィニアスは、意外だがフリフリのドレスが好きなのだ。
高級レースをたっぷり使った金糸、銀糸で刺繍してある高価なドレスをワタシに着せてくれる。
ーー嫌ではない。
ドレスを二着受け取って、城壁を出ようとしたら門が閉まっていた。
ーーヤバイ!
遊び過ぎた!!
「今日は、泊まるしかねえな」
フィニアスは、嬉しそうである。
「だめですよ。イーグを長い間一人にしておけません」
「なら、リリベットちゃん。一人で帰れば?」
「帰ります」
「おい?」
フィニアスが、二枚の銀貨しか持っていないことは知っている。
ワタシは、イーグのもとへ帰ることにした。
足元に小さな魔方陣が現れる。
フィニアスは、ギョッとした。
次の瞬間、ワタシはフィニアスの前から消えていた。
帰ったのは、夜半過ぎた頃だった。
小屋にイーグの姿がなかった。




