第12話 クエストの終わり
洞窟内の風はやんだ。
魔獸のいて重圧感のあった空気は、なくなった。
代わりに、今は、風の貴婦人が外の心地よい空気を運んできてくれる。
ーーもともと、この洞窟は村の食料置き場だったのだ。
そんなところに、魔獸が棲みついて村人は困っていた。
イーグは、突然、自分の方を抱き締めて首を振った。
『……今の力ーー私?』
『そうですよ。あなたは、ワタシたちとは違います。
簡単に力を放出しないでください』
ワタシは、青ざめているイーグに念を押す。
『あなたは、人間ではないのですから』
『でも、ずっとこの姿で生きてきたわ』
ワタシは、思いあたった。
イーグが真名を持っていない。
ーーだからこそ、心臓を盗られなかったのだ。
運がいいのか、悪いのかーー
『あなたが力を暴走させれば、人間界は大変なことになるでしょう』
イーグは、黙って頷いた。
フィニアスが、水の呪文で、魔獸の頭と胴体を氷漬けにした。
ーーえぐっ!!
魔獸の氷漬けなど、気持ちいいものではない。
でも、皮を剥げといっても、昨日の二の舞だ。
フィニアスの腕は良いのだから、今回はこれでよしとするかーー
クエストは終わった。
ワタシは、マルタ村の外れにある小屋を借りた。
イーグに、そこから出ないように言った。
ーー氷漬けの魔獸を、ギルドに届けるためである。
フィニアスを一人で行かせたら、全部、遊びに使われることは百も承知だ。
ここは、ワタシもいっしょに行くしかない。
少し、不安もあったが、半日のことだしーーと思ったワタシがあまかった。




