第10話 拗ねるフィニアス
三人で行動することになった。
ーーいや、正確には「させられている」。
ーーフィニアスは、ワタシを養育する義務を神殿から押し付けられている。
原因は、ワタシの死因が彼にあるためだ。
物心ついたときから、フィニアスといた。
それにイーグ。
フィニアスといっしょにいた方が彼女のためなのだ。
イーグは、渡されたドレスの袖をつまんでいた。
ーーまだ、「自分のもの」になっていないように。
イーグが、風竜として目覚めたといっても、完全ではないーー
《仮の名》本質が拒否している。
相変わらず、力が安定しない。
それは、精神状態にも現れる。
古代レトア語は、万物の本質を表す言葉なのだがーーイーグ《名無し》がよくなかったのか。
本人が、名乗ったから授けたのに……
ワタシは、名前のない竜に違和感しなかった。
竜との契約は、真名でするものだから、イーグではできない。
ーーかといって、本物の竜を人間の世界に置いて置くこともだ。
「ん、でぇ~? リリベットちゃん。宿を出るときに聞いたぞ?
ピク草を集めるために、大盤振る舞いしたんだってね?」
フィニアスは、ワタシを抱き上げて言った。
「昨日のクエスト失敗で、安宿にしか泊まれなかったのにーーどこから金だした!!」
唾が飛んでくる。
もちろん、避けたが。
「隠し金ですよ」
ワタシは、にこり。
フィニアスは、目をつり上げていた。
「高級レースのドレスも三着消えてたぞ!」
「イーグのために」
フィニアスは、涙目になりながらワタシに訴えてきた。
「おまえ、俺に恨みでもあるのか?
可愛い名前をつけて、綺麗なドレスを着せてやってるのにーー」
ワタシは、明後日の方を向きながら言った。
「あなたの嗜好のせいで、この姿ですよ?
自覚あります?」
フィニアスは、次の言葉に詰まった。
ワタシを下ろしてギルドの張り紙の方へ行ってしまった。
ーー本当のことだから仕方ない。




