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【第11話】エリート陰陽師の式神?【浄化の光】でワンタップ消去です

堺の大通りで、細川軍の先遣隊を率いるエリート陰陽師・賀茂晴明(かものはるあき)と、トゲトゲの鉄塊『慈愛号』を担いだお菊が真っ向から対峙していた。


《実況:フクザワ》「さあ、一触即発の堺メインストリート! そしてなんと、この第11話から解説席に新たな戦力、若きサラブレッド『コイズミ2世』氏にお越しいただいております! コイズミさん、よろしくお願いします!」


《解説:コイズミ2世》「ええ、よろしくお願いします。今のこの堺の空気、非常にピリピリしていますね。なぜピリピリしているのかといえば、それは、お互いが睨み合っているからなんですね」


《解説:アベ》「……コイズミ君、いきなりで恐縮でありますが、それは何も言っていないのと同じなんでありますよ……。先行きが非常に不安であります」


馬上の晴明は、目の前に立ちはだかった小柄な町娘を見て、扇子の陰で鼻を鳴らした。


「ほほう、わしの徴発に文句をつけるとは、どこの大名の差し金かと思えば……ただの薄汚い農民の小娘でおじゃるか! しかもその背中の鉄塊、なんじゃその下品な鈍器は!」


「しーっ! あんた、これでも最高級の玉鋼で打った『慈愛号』やで! 下品とか言うたら、打った八兵衛が怒るで!」


お菊の隣で、八兵衛がすでに刀の柄を握りしめ、ゴォォォッと黒い妖気を噴き上げていた。


「そうだぞ貴様! お菊ちゃん専用の愛の結晶を侮辱するとは、万死に値する! 今すぐその白い服を真っ黒に焦がしてやろうか!」


『お菊ちゃんが俺の打ったメイスをかばってくれた……! 実質、俺をかばってくれたのと同じだ! つまり俺たちはすでに夫婦同然ということだな!!』


晴明は八兵衛の妖気に少し眉をひそめたものの、すぐに余裕の笑みを浮かべて懐から五枚の『呪符(じゅふ)』を取り出した。


「フン、威勢がいいのもそこまででおじゃる! 京の都で恐れられる名門・賀茂家の陰陽術、その身をもって味わうがよい! いでよ、我が最強の式神・『黒鬼童(くろきどう)』よーーっ!!」


晴明が呪符を空へ放り投げると、ドロドロとした黒い瘴気が渦を巻き、身長三メートルを超える巨大な一つ目の鬼の化け物が大通りに出現した。


「グオオオオオオオッ!!」


咆哮だけで周囲の瓦がビリビリと震え、堺の町人たちが「ひいいっ、本物の化け物だーっ!」と悲鳴を上げて逃げ惑う。


《実況:フクザワ》「で、で、出たーーーっ!! 都のエリート陰陽師が放つ、超巨大式神だーっ! なんという威圧感! さあコイズミさん、この『式神』という戦術、どうご覧になりますか!?」


《解説:コイズミ2世》「そうですね、非常に大きいと思います。なぜ大きいかというと、小さくはないからです。こういう時はですね、クールで、かつセクシーに戦うことが求められるんじゃないでしょうか」


《解説:アベ》「……あー、頭が痛くなってまいりました。補足しますとですね、式神とは陰陽師が呪力を固めて作り出す人工の妖怪でありまして、通常の刀や矢では傷一つつけられない、極めて厄介な召喚獣なんであります」


『ふぉっふぉっふぉ! 腰を抜かしたか下賤の娘め! この黒鬼童に踏み潰され、ぺちゃんこになるでおじゃるーっ!』


巨大な式神が丸太のような腕を振り上げ、お菊を踏み潰そうと一歩踏み出した。


しかし、お菊は怯えるどころか、自分のステータス画面に表示された『初期スキル』の文字を見て、キョトンと首をかしげていた。


「えーっと、なになに? 【浄化の光(ピュリファイ)】……『あらゆる呪い、怨霊、および不浄なる魔力を一瞬で消し去る』……? ふーん、よく分からんけど、あの黒いお化けに使ってみよっか!」


お菊は『慈愛号』を片手でヒョイッと持ち直すと、空いた左手を巨大式神に向けて、軽く指をパチンと鳴らした。


「はい、消えときやー!【浄化の光】っと♪」


パアアアアアッ!!


教会のステンドグラスを透過したような、神聖で温かい純白の光が式神の巨体を包み込んだ。


次の瞬間。


「グオ……えっ?」


ジュワアアアアッ!! と、まるで熱湯をかけられた綿菓子のように、三メートルあった巨大式神がわずか一秒で跡形もなく消滅した。


大通りには、爽やかなキラキラとした光の粒子だけが舞っている。


「…………は?」


馬上の晴明は、扇子をポロリと落とし、顎が外れんばかりに口を開けて固まった。


《実況:フクザワ》「ジャストミーーーート!! 消えた! わすがワンタップ、コンマ一秒で都最強の式神が完全消去だーっ!! コイズミさん、今何が起きたんでしょうか!?」


《解説:コイズミ2世》「今、式神が消えましたね。消えたということは、もう、ここにはいないということです。まさに『約束は守るためにある』、そういうことなんだろうと思います」


《解説:アベ》「コイズミ君、後半の政治家ポエムはまったく関係ないんでありますよ……! ええ、皆様、今のはですね、西洋の『聖女』が持つ浄化スキルが、日本の陰陽術の根幹である『呪力』を完全にアンデッド扱いして浄化してしまったという、いわば宗教間の圧倒的な相性差が出た結果であります」


「ば、ば、馬鹿なでおじゃるぅぅぅっ!? わしが三日三晩かけて練り上げた特級の式神が、指パッチン一発で消えただとぉぉっ!? き、貴様、一体何者でおじゃるかーっ!?」


顔面蒼白で叫ぶ晴明に、お菊はにっこりと営業スマイルを向けて『慈愛号』のトゲトゲを撫でた。


「うち? うちはただの農民の娘・お菊やで! ほな、あんたの自慢のお化けも消えたことやしさっそく『慈愛号』の試し打ち、いかせてもらおっか♪」


《実況:フクザワ》「さあ、式神をワンタップで葬り去ったお菊選手! いよいよ次は、物理兵器の出番だーっ!!」


《解説:コイズミ2世》「次回もですね、今のままではいけないと思います。だからこそ、今のままではいけないと思っているんです」


《解説:アベ》「……私の胃薬を誰か持ってきていただきたいわけであります。次回、純国産メイス『慈愛号』が細川軍の甲冑を粉砕する第12話に、どうぞご期待ください」

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