謝罪とこれから
修正のお知らせ。ハルベルとの対峙の描写を少し変更いたしました。
フォルスが目を覚まさないのはハルベルの毒の所為ということ。
王女が睨みをきかせているせいで直接手を下せないということ。
を付け加えております。
毒のスペシャリストという事で察してくださった方が大半だと思いますが、分かりやすく、ハルベルの所為というのを強調したくて変更いたしました。申し訳ございません。
獣王王国までは3日で戻ることが出来た。
赤き森にたどり着くまで5日間、森に半日滞在、出発してから計9日間。
ハルベルは出来るだけ時間を稼ぎ、フォルスさんを殺そうとしていたのだろう。
そこで俺には不安がある。
果たしてこの話を信じてくれるのだろうかということである。
少なくとも王国では近衛騎士であり、それ相応の地位にいる人物で、周りからも信頼を勝ち取っていたであろう。
そんな古くから国に尽くしていたものと、俺のようなどこの馬の骨とも分からないぽっと出の人族、どちらを信じるかなど、明白じゃないのか・・・と。
下手すれば、ここでも指名手配をくらう羽目になるのではないか・・・
だが、そんなことよりも、フォルスさんを早く助けなければならないのは明白であり、その後に全ての事情を説明しようと思った。
王国は所々から煙が上がっており、まだ戦闘は継続中とのことであった。
俺は取り敢えず屋敷を目指し、その屋敷の獣人に特級を渡そうとして、止めた。
「自分で飲ませます。よろしいですね?」
「え?ええ・・・よろしいですけど・・・」
申し訳ないが信用できない。
俺が任せられた仕事だ。なら、俺が最後までやらなければ、何が起こるか分からない。
メイド服を着た獣人の女性は、頭に?マークを浮かべながら、了承してくれた。
早速中に入り、フォルスさんと面会する。
右手右足が無く、ずっと昏睡状態なんだそうだが・・・
トラックの調合機能によって作り出した特級を口元へと運ぶ。
すると手と足が生え、顔色も良くなる。
まじかで見るとかなり不気味な光景だが、これで一先ずは安心だろう。
「うっ・・・ん・・・ここは?お主は・・・?」
と、思っていたら目を覚ました・・・特級ポーションの効果に改めて驚く。
俺と目が合い、俺も口を開く。
「初めまして、私は人族のジンと言います。イザークさんから貴方を頼れとここまで来まして、王女の命により、生命草を貴方へと届けたのです。」
すると、記憶が蘇ったのか、徐々に顔が驚愕に染まる。
「すまない、御仁。後で必ず礼はする。まずは裏切り者の事を王女様へお伝えせねば・・」
「それは・・・ハルベルのこと・・・ですよね?」
「何故それを?」
俺はハルベルの裏切り行為を話すと、フォルスさんもハルベルを庇っての怪我ではなく、炎龍と対峙前に飲んだ水に毒が入っていたらしく、二人きりになったところをハルベルが憎たらしく説明してきたのだそうだ。そうして殺されかけたものの、気を失う直前に他の兵が駆けつけ、そのまま意識を失ってしまったらしい。
俺の疑いもこれで晴れると安心し、今はゴアが大群で押し寄せてきていること、俺も加勢しに行くことを伝えると、「私も行こう。」と身を起こした。
「ちょっ!もう大丈夫なんですか?」
いくら特級とはいっても、疲労感は半端ないはずだ。
それは自分で実証済みである。
「国の一大事だ。なら、隊長であるこの私が、こんなところでゆっくりと休めるはずもない。」
断固たる意志で、何を言っても通じないとみて、俺とフォルスさんは一緒に森に向かって駆けた。
道中、運ばれていく血だらけの兵士たちが沢山いたが、フォルスさんの姿を見ると、みな身体を震わせて泣き、気絶していった。
隊長が無事だとわかり、安心し、力が抜けたのだろう。
そういう関係は、正直羨ましかった。
そして、こんなにいい場所を壊そうとする奴らを、俺は許せない。
身体から力が漲る。
何時だって、何かを守ろうとするときは、スキルの効果か、力が漲ってきた。
ポリスのスキルの効果なのだろうが、これのお陰で、幾度となく救われてきた。
神刀を強く握る―――
最前線が見えた。
そこには、王女と師匠、それに多くの兵士が戦っていた。
皆が皆、傷だらけで、けれども目は死んじゃいない。
「ハンナ様!ただいま復帰いたしました!」
真横でフォルスさんがバカでかい声を上げた。
耳がキーーンと耳鳴りを起こす・・・するならするって言ってくれよ・・・
すると向こうからもバカでかい声で返事があり、フォルスさんはそこから更にスピードを上げ、王女の目の前にいたゴアを持っていた薙刀で軽々と切り裂いた。
そこから、兵士のモチベーションが恐ろしく上がり、俺が何かをすることすらなく、殲滅した。
元々残りは少なかったそうだが、それでも、1匹でも恐ろしかった、あのマンモスを殲滅してみせたのだ。
上には上がいるのはわかるが・・・化け物にもほどがあるだろう・・・
病み上がりだってのに、物凄い馬鹿力だ。
それからは、王女は事情を聴き、俺に頭を下げた。
「ジン・・・うちのもんが迷惑かけた・・・申し訳なかった・・・・正直に言えば、ハルベルが何かしているかもしれないとは思っていたんだ・・・だが、確たる証拠もなくてな・・・あいつを信じたくて、フォルスを救うというから、お前に同行させてしまった・・・すまなかった。どうか、許してほしい。」
「確かに死にそうな目には合いましたが、王女の所為ではありません。感謝こそすれども、恨むことなどありませんから、どうか頭を上げてください。」
これは本心からの言葉だ。
確かに死にそうな目にあったし、っていうかムーの助けがなければ確実に死んでいたであろうが、これは俺の無警戒ってのもあったし、何より王女が悪いのではなく、ハルベルの所為なのである。
管理は王女がしていたのであろうが、一人一人の心情まで気を配るなど、そんなことは出来ようもない。
折角鍛えてきた力を十分に発揮するわけでもなく、この騒動は幕を閉じた。
師匠は手ごたえを感じたらしく、そして、更なる強者を見つけ、うずうずとしていた。
王女も俺が気にしないと言うと、顔を上げ、今度はフォルスさんの礼を言われた。
自分にも利がありますからと返し、フォルスさんは「何のことでしょう?」と聞いてくる。
今までの経緯を細かく説明すると、「分かりました。某、誠心誠意、命の恩人に恩返し致しましょう。」と、鍛えてもらえることになった。
師匠は年甲斐もなくはしゃいでいたが、俺は気を引き締め、「よろしくお願いします。」と頭を下げるのだった。
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