神の手
「魔気・・・ですか?」
「左様。そもそも同時に使っているとは思われますが、反発しあうそれらを融合させるのです。」
俺は師匠と共に闘技場にいる。
そしてフォルスさんから講義を受けているのだが・・・
「それは何度も試しましたが、できませんでした。」
そもそもフォルスさんも反発しあうと言っている。それを融合させるなど、本当に出来るのだろうか。
気も魔力も同じく流すことで、刀の鋭さは増した。
だが、別々に流れているものだ。
これには本当に苦労させられたが、いわゆる磁石のN極同士をくっつけることなどできるはずもない。
「その為に、なさなければならぬことがございます。」
そう言って、俺らは場所を移動させた。
そして、今―――
カンッカンッと響く音、熱気のせいで全身が汗でびっしょりになりながら、打つ。
ひたすらに、ただ打つ。
「馬鹿もん!もっと腰に力を入れて鉄の声をきかんか!!」
「へ、へい!」
「なぁ、ジン・・・俺らは騙されてるんじゃないのか?」
「そこ!しゃべってんじゃねぇ!!鉄と話せる分けねえだろうが!声だけ聴いてやがれ!」
しゃべれないけど声は聞こえんのかよ!っと思いながらも、ただひたすらに、文句を言わずに鉄を打つ。
俺らは何故か鍛冶場にいる。
そう、鉄を打っている。
鍛冶師の職業を選び、ただひたすらに―――
フォルスさん曰く、生産職を極めれば、その先に魔気を操る術を手に入れられる・・・らしい。
なぜらしいのかといえば、フォルスさんも魔気の融合は出来ないからだ。
それは言い伝えでしかなく、けれど、更なる強さを求めるならばと、教えてもらった。
職業を下位から片っ端にMAXにするのは基本。
それ以上を求めるなら・・・と俺らは言われた通りに生産職になり、鍛冶師にお世話になっている。
言い伝えでは、5種類の生産職を極める・・・らしい。
鍛冶師、調理師、彫金師、採掘師、木工師
これらを全てⅩにする。
俺がいれば、何故か習得率は格段に早くなるので、師匠にもあるこの5つを選択した。
全ての職業で、気も魔力も使用した。
剣を打つ時、気と魔力を注ぐことで丈夫な剣に出来上がったり、包丁を扱う時はもちろん。
木を伐り、彫り、岩を削るなど、全てにおいて、使用したほうが効率が上がった。
そうして何日もかけ、それらを習得していった先にでてきた職業は、
ゴッドハンド
という名前の職業だった。
生産職の極みという感じが物凄い・・・決していやらしい視点で捉えてはいけない。
確かに手先は器用になったと思う。
包丁の扱いも、剣の扱いも、全ての扱いが格段に上がり、神刀の取り回しも前より良くなった。
それをまた極めるために、何もかもを創りまくった。
ゴアの襲来で壊れた個所も、今では全て俺らが修繕し、元通りとなったし、風車や水車なんかも、地下の抜け道や新たな家も、気と魔力を駆使し、使えるスキルは全て使い、戦いのエネルギーをすべてそこへ注ぎ込み、そうした成れの果てに、Ⅹになって、手に入れたスキルは、【融合】だった。
先に言っておくと、フュージョンではない。
互いに踊って指を合わせたりだとか、師匠と融合して、ヒュージンとかになったりはしない。
だが、気と魔力だけじゃなく、数多くのものを融合することは出来た。
これ程、生産職で活躍するスキルもあるまい。
全ての工程を短縮することが可能なスキルだからだ。
っていうか、気と魔力を融合させるのは、きっと裏技のようなものだろう。
それが昔の人といってはなんだが、発見していたというのは感心せざるを得ないし、昔の方が発達していたのはどうやら本当らしいと、そう思った。
昔はこれが当たり前だったのかどうかは分からない。
博識だと豪語したムーも「人の考えることなんてわからないよ!」って感じで、返された。
ともあれ、最初に俺が勘違いして使っていたやり方から、魔力と気を今の状態にもっていくので3割増しなのに対し、融合を使えばそれの5割増しだ。
全ての威力が底上げされた。
それによって必要とされたのは、調整だ。
3割増しでも体を慣らすのには苦労したが、それの5割増しだ。
身体が全くもってついていかない。
その他の職業を上げつつも、俺と師匠は互いに高めあっていった。
――――
そうして、イザークとの約束まで、残り3か月となっていた。
「んじゃ、最終確認といこうか!いくぞ!ジン!」
師匠は言うや否や、大剣を軽々と片手で持ち、地面を滑るように駆けた。
対する俺は神刀と小太刀をそれぞれ持ち、脚に魔気を纏って跳躍する。
修行を経て、手に入れた数々のスキル。
それらを総動員した戦いが始まった。
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