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失望者の異世界転生  作者: コバヤシ アキラ
第3章
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ボッコボコ


職業を変え、王女ハンナ・ディ・レオグラルトから直々に指導を受けた。

指導・・・っていうか、ボコボコにされている。


「いっつっつつ・・・」


打ちのめされた身体が痛み、そんな声が漏れ出る。


「ジンも良くやるねぇ・・・」


クソ猫は我関せずといった感じで、指導中は離れて寝ている。

そして終われば近付いてきて、俺の肩で喚き散らす。


「お前は気楽だな・・・もうちょっといたわってくれてもいいんだぞ?ただ飯食ってるわけだし・・・」


「タダ飯だなんて人聞きの悪い・・・ミーはジンの話し相手だよ?こんなにプリティなミーがこうやって愚痴を聞いてあげたりしてるんだから、感謝されこそすれ、そんなことを言われる覚えはないよ。」


「いや、でもお前・・・俺が主じゃんか?たまには敬ってくれても良くない?」


「え!?いやいや何言ってるのさジン・・・ミーが主でしょ?」


「え?」「へ?」


「ジンがご主人とかありえないでしょ?ミーがご主猫様だよ」


「よーしっちょっと表出ろ」


「全く、ミーがジンの願いを聞き届けに来てあげたってのに、どっちが上かもわからないなんて・・・」


ムーはやれやれといった感じで溜息を吐く。

それは挑発、煽りと感じられ、俺の心に火が付いた。

そうして宛がわれた部屋から外へ出ようとすると、その前に盛大に扉が開く。


「やかましい!なんだ?訓練が物足りないならそう言ってくれ!続きをやるぞ!」


バンと扉を開けて、両腕を組み、仁王立ち・・・立っていたのはこの国の女王。

そうして首根っこを掴まれると、闘技場まで連れていかれた。


俺としては、「あっはい・・・」としか言えず・・・獣耳の女王、クソ猫のムー、首根っこ掴まれる俺・・・最早、誰が獣なのかわからねぇ。


俺はペットじゃない・・・だけど首を掴むなとも抗議できずに連れていかれた。

俺を見るムーは憐れむような目を向けている・・・主だっていうなら、助けてほしいもんだが・・・そういった目を向けたが、欠伸で返された。


覚えとけよ・・・


「じゃあ、基礎の気闘術からだな!お前は気を何となく流しているだけだろ?そうじゃなく、きちんと管理しろ!」


「きちんと管理・・・ですか?」


一応意識してはいた。それを何となくって言われるのは心外だが、でも、まぁ・・・何となくと言えば、何となく流していたのかな?とも思ってしまう。


「そうだ!どこにどれだけ流すか、全体の何割をそこに持っていくか、そして、それの最適解を見定めろ。」


「具体的にどうするんですか・・・?」


「そんなものは感覚だ!個人で気の多さには違いがある。私と戦って、それを見極めていけばいい!気のみで戦う事!いくぞ!」


そう言って地面を蹴った。

女王も気だけのはず、だが、気だけでここまで速いのか!


「今のは脚に8割、全体に2割だ!」


そう言って拳を突き出す。

俺はそれを脚に3割、全体に2割、腕に5割振り分けて受け止めるが、足の踏ん張りが効かずに後方に飛ばされる。


「くっそ!」


「気付いたか?殴る瞬間に気を移動させたんだ。受けるなら体幹をしっかりしろ!足の踏ん張りが効かないなんてのはもってのほかだ!そんなガバガバな隙を見せればっ」


そう言って、いつの間にか俺の後ろに回り込まれ、


「こうなる!」


俺の脇腹に拳が届く―――


瞬間、全気をそこに集中させ防ぐが、また吹き飛ばされた。


「今のがフェイントだ!頭を殴られてたらかち割れてたぞ!」


ごもっともすぎて何も言い返せない・・・

戦闘中に考えることが多すぎて、今までのように動けない。


「最初は動きが鈍るのも当然だ!それを呼吸と同じように、無意識にできるまで殴り続けてやる!」


そうして今日もボッコボコにされ、それから毎日これを繰り返した。

毎日毎日ボコボコにされ、だが、生命力回復のスキルのお陰か、何とか食いついていけた。


レベルは上がらないが、それぞれのスキルもちょこちょこレベルが上がり、職業もそれぞれ少しづつ上がっていった。


気の次は魔力、その次は両方、それが終わって武器を持ち、女王と打ち合った。

気と魔力を違う個所にバラバラに送り込んだりするのは、頭がこんがらがりそうになったが、何度もボコボコにされ続け、殺されると必死になってやっていたら、いつの間にか慣れていった。


これで初歩とか、たまったもんじゃないが、出来なければ死ぬだけだと言われた言葉がかなり突き刺さり、弱音を吐くことは止めた。

その分、煙草の量は増えた気がするが・・・。


ともあれ、強くなっている実感があった。

気闘術、魔力操作はⅩまであがっていたし、後は慣れだけだった。

そして、慣れてくれば、女王とも打ち合える程度にはなれた。


そんなことをずっと続けていたある日、一人の男が門の前に倒れているという連絡があった。


人族だと聞き、見に行くと―――

見た瞬間に俺は駆け寄った。



死んでいるんじゃないかと思うほど血だらけで、緑の防具はボロボロで・・・



師匠・・・戦闘狂ヒューグがそこに倒れていた。






お読みいただきありがとうございました。


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よろしくお願いします。

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