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失望者の異世界転生  作者: コバヤシ アキラ
第3章
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豹の女王


「なんだ?イザークに認められたのだろう?なら、私と勝負するもんだろ?」


どういう理由だよ・・・ってゆーかさ


「イザークさんは何なのですか?青の護衛ってだけじゃなさそうですよね・・・」


ハルベルさんもイザーク様って言ってたし、この女王もイザークに認められただの何だのと、訳が分からない。


「ん?イザークは私の兄だ!そして、元この国の王である。それに認められたから来れたのだろう?あの忌まわしい森を超えて・・・なら、どれだけの強さか、確かめたくなるのもしょうがあるまい!」


あ、兄?兜を外したことがないのは獣人だったから?

いや、そうじゃなくて、国王だったからか・・・ダンたちを警戒するためにかぶってたのかな。

ともあれ、勘違いを指摘しなければなるまい・・・


「いえ、認められたからではなく―――」


俺は経緯を説明した。

あの国の王子・・・ダンにやられたこと、結果的にイザークに助けられ、間違いを犯すことなく来れたこと・・・そして、強さを求めてここまで来たこと。


そういう話をしたが・・・


「そうか、なら、やっぱり私と戦おう!ハルベル!準備しろ!」「ハッ!すでに準備は整っております!」


と、こうなったわけで。


女王はガバッと立ち上がって「ついてまいれ」と言うと、俺を越してそそくさと先に行ってしまう。

そうしてハルベルに再度案内され、ついた先は当然というか、闘技場のような場所であった。


弱いからこそ、強さを求めて来たというのに、なら戦おうってのは、ちょっと違う気がするんだがな。


「何だ?不服か?だが、お前の強さを見るためにも、戦うのが一番手っ取り早い。だから、勝負するってのもあるし・・・」


「あるし?」


「単純に、わたしゃー暇なんだよ。そこに丁度良くお前が来た。私は思ったね、兄さんが私に贈り物をくれたんだってさ。」


そう言って身構える。両手を地面に着き、八重歯が鋭く、目は得物を見るように・・・ライオン――

いや、豹のような・・・そう、動物のように――


そう思った――次の瞬間。


「いくぞ!」


その声と共に女王は――いや、豹は飛び出してきた。

そう思った時には、


ドン!


と、後ろに吹き飛ばされた。


「ぐはっ!」


声が届くのと、突進されるのが同時だったぞっ―――

「反応は出来てるようだが・・・身体が鈍いのか・・・じゃあ次は――」

そう言うと光が女王の身体を包み込んだ。


「防御しろ、じゃなきゃ灰になるぞ!」


【神鳴】


言うや否や、青白い雷が放たれる。


想像するはバリア。

透明な、いつも身体を覆うそれを、出来る限り前方に延ばして、圧縮して、全力で壁をつくる。


けたたましく轟音が鳴り響き、俺の前のバリアに衝突する。


だが、なだれ込んでくるその圧倒的な力に耐えきれず、バチンっと弾かれ吹き飛ばされた。


「ほう・・・まぁ、無駄は多いが、合格点かな?」


意識を失う寸前、女王はそんな事を呟いた。



―――


はっと気付いて目を覚ます。

質素な灰色の石の部屋で目を覚ました。


「ふぁー・・・大丈夫かい?ジン」


ムーは俺の腹の上で欠伸をしながらそう言った。


「ここは?」


「んー?ここは休憩室だそうだよ。起きたら女王のとこまで来るようにだってさー」


眠そうな顔で、ムーはそう答えた。

俺が負けたことなんてどうでもいいのだろう。


ボコボコにされた・・・。

防ぐことすらできなかった。


悔しくもあり、だが、期待もできる。

俺はもっと強くなれる―――それが証明されたともいえるからだ。

それを叶えられるかは、女王の機嫌次第といったところでもあるが・・・だが、気を失う間際、一応合格だと、そう言っていたのが聞こえた。


なら、きっと大丈夫だと、自分に言い聞かせつつ、部屋の扉を開けると、ハルベルさんが待機しており、俺は女王のもとまで案内された。


「おう!気分はどうだ?話せるか?」


気分は最悪だ。なんせ俺の今までが全く通じなかったのだから・・・


「話せます。」


気分のことは何も言わず、先を促す。負けてふてくされているわけではない。決して・・・


「ハッハッハ!悔しかったのか?まっフォルスじゃなく、私からお前に何か強さの秘訣を教えてやるとするとだ・・・お前は雑だ!雑すぎる!」


まさか雑そうな人から言われるとは思わず、かなり凹む。


「ハッハ!まさか私より雑な奴がいたとはな!お前、潜在能力(ポテンシャル)高めだろ?」


「ええ、まぁ・・・師匠に化け物と言われるくらいには」


「ふむ、まーそれが原因でもあるだろう。お前には工夫がない。そして・・・雑だ。普通は力がないなりに補おうと努力するが、お前にはその過程がないのだろう。そして、無駄が多い。例えば1のマナで足りるのをお前は50や100でそれを行っているという感じだな。それじゃあ最適な動きは出来ないし、見極める目を補えん!・・・っと、さっきの実戦で私が感じたことはそれくらいかな。」


確かに・・・と俺は思った。

補う努力をしたことはない・・・魔法に関してはいろいろ考えてみたものの、思いつくのは広範囲の圧倒的火力ばかりで、周囲や自分自身までもが危険になると思い、使用すらできていない。


「強くなるってのは、圧倒的火力だと思っていたのですが・・・」


「確かにそれも重要だな・・・だが、お前は基礎が出来ていなさすぎるんだ。そのマナの無駄遣いは、威力さえも半減させる要因になりうる。それから、気になったのだが・・・お前のジョブはシーフ系だろう?五感の強化ばかりで、強さにはあまり直結されにくいと言われている。」


「・・・・」


泣きそうになるほどのダメだし・・・強くなろうと応用を学びに来たのに、まさかの基礎すらできてませんって・・・そりゃ凹む・・・


「あっま、まぁそう気に病むな!そうは言ったが、それであれだけの防御魔法が出来てるんだ。基礎を確実なものにすれば、更に強くなれるだろう!それで!えーっとフォルスの事だったな!」


慌てたように豹の女王様は話題をフォルスの事へと変えてきた。

やっと本命の話になるのだった。




お読みいただきありがとうございました。


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