豹の女王
「なんだ?イザークに認められたのだろう?なら、私と勝負するもんだろ?」
どういう理由だよ・・・ってゆーかさ
「イザークさんは何なのですか?青の護衛ってだけじゃなさそうですよね・・・」
ハルベルさんもイザーク様って言ってたし、この女王もイザークに認められただの何だのと、訳が分からない。
「ん?イザークは私の兄だ!そして、元この国の王である。それに認められたから来れたのだろう?あの忌まわしい森を超えて・・・なら、どれだけの強さか、確かめたくなるのもしょうがあるまい!」
あ、兄?兜を外したことがないのは獣人だったから?
いや、そうじゃなくて、国王だったからか・・・ダンたちを警戒するためにかぶってたのかな。
ともあれ、勘違いを指摘しなければなるまい・・・
「いえ、認められたからではなく―――」
俺は経緯を説明した。
あの国の王子・・・ダンにやられたこと、結果的にイザークに助けられ、間違いを犯すことなく来れたこと・・・そして、強さを求めてここまで来たこと。
そういう話をしたが・・・
「そうか、なら、やっぱり私と戦おう!ハルベル!準備しろ!」「ハッ!すでに準備は整っております!」
と、こうなったわけで。
女王はガバッと立ち上がって「ついてまいれ」と言うと、俺を越してそそくさと先に行ってしまう。
そうしてハルベルに再度案内され、ついた先は当然というか、闘技場のような場所であった。
弱いからこそ、強さを求めて来たというのに、なら戦おうってのは、ちょっと違う気がするんだがな。
「何だ?不服か?だが、お前の強さを見るためにも、戦うのが一番手っ取り早い。だから、勝負するってのもあるし・・・」
「あるし?」
「単純に、わたしゃー暇なんだよ。そこに丁度良くお前が来た。私は思ったね、兄さんが私に贈り物をくれたんだってさ。」
そう言って身構える。両手を地面に着き、八重歯が鋭く、目は得物を見るように・・・ライオン――
いや、豹のような・・・そう、動物のように――
そう思った――次の瞬間。
「いくぞ!」
その声と共に女王は――いや、豹は飛び出してきた。
そう思った時には、
ドン!
と、後ろに吹き飛ばされた。
「ぐはっ!」
声が届くのと、突進されるのが同時だったぞっ―――
「反応は出来てるようだが・・・身体が鈍いのか・・・じゃあ次は――」
そう言うと光が女王の身体を包み込んだ。
「防御しろ、じゃなきゃ灰になるぞ!」
【神鳴】
言うや否や、青白い雷が放たれる。
想像するはバリア。
透明な、いつも身体を覆うそれを、出来る限り前方に延ばして、圧縮して、全力で壁をつくる。
けたたましく轟音が鳴り響き、俺の前のバリアに衝突する。
だが、なだれ込んでくるその圧倒的な力に耐えきれず、バチンっと弾かれ吹き飛ばされた。
「ほう・・・まぁ、無駄は多いが、合格点かな?」
意識を失う寸前、女王はそんな事を呟いた。
―――
はっと気付いて目を覚ます。
質素な灰色の石の部屋で目を覚ました。
「ふぁー・・・大丈夫かい?ジン」
ムーは俺の腹の上で欠伸をしながらそう言った。
「ここは?」
「んー?ここは休憩室だそうだよ。起きたら女王のとこまで来るようにだってさー」
眠そうな顔で、ムーはそう答えた。
俺が負けたことなんてどうでもいいのだろう。
ボコボコにされた・・・。
防ぐことすらできなかった。
悔しくもあり、だが、期待もできる。
俺はもっと強くなれる―――それが証明されたともいえるからだ。
それを叶えられるかは、女王の機嫌次第といったところでもあるが・・・だが、気を失う間際、一応合格だと、そう言っていたのが聞こえた。
なら、きっと大丈夫だと、自分に言い聞かせつつ、部屋の扉を開けると、ハルベルさんが待機しており、俺は女王のもとまで案内された。
「おう!気分はどうだ?話せるか?」
気分は最悪だ。なんせ俺の今までが全く通じなかったのだから・・・
「話せます。」
気分のことは何も言わず、先を促す。負けてふてくされているわけではない。決して・・・
「ハッハッハ!悔しかったのか?まっフォルスじゃなく、私からお前に何か強さの秘訣を教えてやるとするとだ・・・お前は雑だ!雑すぎる!」
まさか雑そうな人から言われるとは思わず、かなり凹む。
「ハッハ!まさか私より雑な奴がいたとはな!お前、潜在能力高めだろ?」
「ええ、まぁ・・・師匠に化け物と言われるくらいには」
「ふむ、まーそれが原因でもあるだろう。お前には工夫がない。そして・・・雑だ。普通は力がないなりに補おうと努力するが、お前にはその過程がないのだろう。そして、無駄が多い。例えば1のマナで足りるのをお前は50や100でそれを行っているという感じだな。それじゃあ最適な動きは出来ないし、見極める目を補えん!・・・っと、さっきの実戦で私が感じたことはそれくらいかな。」
確かに・・・と俺は思った。
補う努力をしたことはない・・・魔法に関してはいろいろ考えてみたものの、思いつくのは広範囲の圧倒的火力ばかりで、周囲や自分自身までもが危険になると思い、使用すらできていない。
「強くなるってのは、圧倒的火力だと思っていたのですが・・・」
「確かにそれも重要だな・・・だが、お前は基礎が出来ていなさすぎるんだ。そのマナの無駄遣いは、威力さえも半減させる要因になりうる。それから、気になったのだが・・・お前のジョブはシーフ系だろう?五感の強化ばかりで、強さにはあまり直結されにくいと言われている。」
「・・・・」
泣きそうになるほどのダメだし・・・強くなろうと応用を学びに来たのに、まさかの基礎すらできてませんって・・・そりゃ凹む・・・
「あっま、まぁそう気に病むな!そうは言ったが、それであれだけの防御魔法が出来てるんだ。基礎を確実なものにすれば、更に強くなれるだろう!それで!えーっとフォルスの事だったな!」
慌てたように豹の女王様は話題をフォルスの事へと変えてきた。
やっと本命の話になるのだった。
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