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失望者の異世界転生  作者: コバヤシ アキラ
第3章
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ほしっみっっっつ!


「そー言えばさ、ムカチャッカファイアとか、何で知ってるの?」


どうしたって引っ掛かる。そもそもそんな言葉はこの世界にはないはずだ。

で、あるならば、俺の他にも異世界転生とかしたやつがいて、そいつから聞いたとか、そんな感じに思った。


そして期待して聞いたものの、返ってきたのは―――


「ユーとミーは繋がってるって言ったろ?ちょっとユーのメモリーを見てみたのさ!」


ん・・・ちょっと待てよ?


「なら・・・ル〇語もやっぱり俺の記憶から読み取ったんじゃないのか?」


だって英語って概念もない。このクソ猫・・・わざとやったんじゃないだろうな・・・


「あ・・・え?・・・テヘペロ!」


俺の右手が真っ赤に燃える―――クソ猫叩けと輝き叫ぶ。

ゴッドチョップ!


「てい!」


右手で左肩に乗ってるクソ猫を思いっきりチョップした。


「ぐえ!ワッタッファック!何するんだい!」


「その話し方をやめろ!」


「ぐぬぬ・・・ユーが寂しそうだったから脳内記憶からトークをスタディしたっていうのに・・・・わかったよ!もう!普通に話すよ!」


「ったく!平気で何年もこの話し方だ!とか嘘つきやがって!ん?てかお前、じゃあ俺のことどこまで知ってるんだ?」


「ん?いやいや、流石にミーだってプライバシーは守るよ!記憶を見たのは話し方だけさ!・・・ほ、本当だよ!」


まぁ・・・いいか・・・別に見られて困るもんでもないしな。

むしろ説明しなくて済むし、便利かもしれん。


とはいえ、困らないとは言っても、見られたくないはないものでもあるし、見てないというのなら、それでいいか。


ムーは結局、精霊界には帰ろうとしない。

俺の肩に乗って、ずっとしゃべっているし、何か話せと根掘り葉掘り聞いてくる。


俺が話したのは、俺がこの世界に来て、見たもの、出会った人、そして経緯。

どうして俺が獣人の国に行くのか、どんな目にあったか、その話をしているときは、ムーは黙って聞いていた。

理解したのかどうかは分からないが、聞いた後は全く違う話を振ってくる。

今日のメシはなんだの、いつまで歩くんだだのと・・・そのくせそういった話は要求してくる。


「これから一緒に過ごすんだからね!お互いの事は知っていなくちゃ!」


とはクソ猫の言葉であるが、こいつは自分の事はまるっきし話さない。


「ミー?ミーはエンシェントキャット。それ以上でも以下でもないよ!」


そう言ってはぐらかした。

まあ、それくらいしか話すこともないのだろう。

精霊界は自然が猛威を振るう地であり、マナを多く含み、人が住むには厳しい環境なんだそうだ。

自然が豊かなだけで、他には何もない。


そんな場所にいたものだから、俺の話も、メシや魔獣も、全てに興味があるんだと。

その目は懐かしむような感じではあったが、楽しんでいるようにも見えた。


「さて、今日はこの辺で寝るか。」


「えー?もうちょっと行けば着くかもしれないじゃないか!こんな汚らしい場所で孤高のミーは寝れないよ!」


「・・・いや、ここで寝るんじゃない。ほら」


そう言ってトラックの異空間を広げる。


「あ・・・お前は入れないかもしれないな。」


まだ俺のトラックレベルはⅨであり、自分しか入れないと書いてあった。

なら、このクソ猫はここで寝るしかない。

いい気味だとは思ったが、


「わーお!ジン!ユーは異空間を所有してるのかい?!こりゃあすごい!おっ入れる!」


ムーはそう言うと俺の肩から飛び出し、異空間へと入っていった。


「あれ?」


とりあえず俺もそれに続く。


「俺しか入れないのに・・・何で入れるんだ?」


「んー?ミーはジンと繋がっているからね!つまりそういうことさ!」


ということらしい。

なら、一緒に歩かなくとも、ここにずっと入っていてもらえれば、しゃべり続ける猫の相手はしなくともよいのではないか。


そう思ったのだが、そこで俺は自分勝手だなと、思わずにはいられなかった。

話し相手が欲しくて呼んだのに、今度はうるさすぎるからと異空間に閉じ込めようとする。

それはあまりにも、自分勝手だった。

お互いの合意の上での召喚ではあるが、いささか自分勝手が過ぎたなと自重する。


「ん?どーしたんだい?早くご飯を食べよう!ジンのご飯はおいしいからね!コーヒーとかいうのは泥水よりも酷い味だったけど・・・」


精霊も食事はする。

ムーは自称美食家らしく、俺の料理を毎回星の数で評価する。


「ほしっみっっっつ!」


尚、これも記憶を覗いたからこそ知っているものだと俺は思っている。

ムーは吹けない口笛を吹いて誤魔化しているようだが・・・


孤独から一転、にぎやかな奴と共にムーが短い手を指し示す方向を毎日歩き続けた。


そして、どれくらい歩いただろうか、ついに、人工物に辿り着く。


レンガでできた壁。


それが左右にずっと伸びていた。


「これが獣人の国?」


「ああ、昔も今も、壁は変わってないようだね。」


「ほーん、まぁ、行ってみるか・・・」


「いこーいこー!早くおいしいものを食べよう!」


こちら側にも扉があり、そこに近づくと、


「そこで止まれ!お前!何者だ!」


と、その扉の方から声が聞こえた。


「あー人族のジンです。青の公爵の護衛、イザークさんから、フォルスさんを訪ねるよう言われて来たのですが・・・あ、これが青の印です。これを見せれば、きっと力になってくださると言われたのですが・・・」


「む・・・それは正しく青の印。イザーク様の匂いもするな・・・よし、そこでしばらくまっていろ!」


え・・・その位置から、この指輪の匂いがわかるん・・・?

ああ、いや、返事だ返事。


「はいっ!よろしくお願いします。」


そうして待つこと数分。


ゴゴゴゴゴゴゴと重そうな扉が開き、中から獣の耳や、尻尾をはやした人たちが出てきた。


「ようこそ獣王王国レオグラルトへ。入国の許可が下りました。私、ハルベルがフォルス様の元までお連れ致します。どうぞ付いて来てください。」


そう言って、その中の一人が頭を下げた。






お読みいただきありがとうございました。


ブクマ、評価は非常に励みになります。お手数ですが、していただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。

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