↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
失望者の異世界転生  作者: コバヤシ アキラ
第2章
75/137

焦る気持ち、彷徨う俺

鬱蒼と茂る木々が立ち並び、草花の匂いが鼻を擽る。


何処か、懐かしい匂い。


「迷宮の・・・森?」


いや、断定はできない。

森の匂いなんて皆同じようなものだし、ただ、何となくそんな気がした。


視界いっぱいに木々が立ち並ぶだけで、周囲の景色なんて見れたものでもない。

途方もない場所へと飛ばされている可能性だってある。


・・・焦る。

デブスは連れ去られ、ダンはきっと何もなかったかのように平気な顔で学院に戻るだろう。

ルーシーや他の人たちも、危険にさらされるかもしれない。

俺は一刻も早く学院に戻らなければならない。


だが、一体ここからどうするべきか、だ。


「先ずは高い場所に行くべきだよな。」


遭難すればジッと助けを待つか、水などが全くなければ、水場を探したりするんだろうけど、ここは異世界であり、ましてや助けなど来ない。

不幸中の幸いで、俺にはトラックにしまい込んだ大量の食糧もある。


王国にはまだ行ったことのない場所はあるが、山の配置などは大方覚えている。

ならば遠回りだとしても、一旦丘や山など高いところへと登り、周囲を確認する必要がある。


それがきっと、一番の近道だと思う。

自分にそう言い聞かせる。


「ふー」


落ち着け俺・・・ここで焦ったっていいことなんて一つもない。


ここらの木は、細く、高く、そして、てっぺんが大量の葉っぱで覆われていた。

登ろうにも、登れない。


そうして次の行動は決まったものの、さて、どちらに行くべきなのか。

どの方角になにがあるのか見当もつかない。


それにアイツは、


『楽しめる』『生きて帰ってこれれば』


と言っていた。


で、あるならば、ここは普通の森ではないという事だ。


「っ!?」


ドシッドシッと後ろから足音が聞こえた。

かなり響く音・・・


「・・・なんだ?」


スキルで影を薄くし、近付く。


「え?・・・マ・・・マンモス?」


茶色い毛並み、粗利だった鋭く鋭利な牙が2本、口元から伸び、象のような巨体がそこにいた。

当然マンモスなんて見たことはないし、象ですらテレビでしか見たことがないが・・・


きっと地球人に聞けば、100人中ほぼ全員が同じくマンモスと答えるだろうと思った。


そいつが―――こちらを睨んだ。


鋭い眼光。


一瞬で、死を覚悟する。


むしろ、なぜ気付かれたのか・・・スキルを使っているにもかかわらず・・・


焦りつつも迅速に身体を動かすことができた。



【闇霧】



教官が使っていた霧をアレンジを加えて発生させた。

俺なら混合魔法で熱して冷やさなくても、一度でできるし、白い霧よりも、黒い方が俺の服装の場合はより、目立たなくなる。

フラッシュバンは周囲の魔物を呼び出しかねない・・・なら、この微かに照り付ける太陽の光さえ闇で届かなくしてしまえば、俺を見失うはずだ。


そうして、それをマンモスの方向へと飛ばし、回れ右をしてとにかく全力で逃げた。


「くそっ!あの野郎・・・何が楽しめるだ!」


赤鬼相当の怪物だ・・・


あんなもの、一々相手にしてたら体が持たない。

それに、もう特級ポーションだって1つしかない・・・出来る限りは温存しておきたい。


「ここまで逃げれば・・・」


随分走った・・・全速力で駆け抜けた。

10キロ20キロじゃ効かないぐらい走り抜けた・・・


だが、


敵意感知が激しく警報を鳴らす―――


その場から飛びのく!


ドカン!


と、今いた場所が、地面が叩き潰され、土煙をあげた。

そこに映る影は、先程のマンモスではなかった。


「今度は何だよ・・・何なんだよ・・・」


そこから現れたのはゴリラだった。

テレビで見たゴリラを3倍の大きさにして、黒い毛で覆われたものが、ゴリラと言えるなら・・・だが。


そいつらを目のあたりにして、分かったことは、魔力と気を当然のように自身に纏っているということだ。


だが、マンモスよりは・・・赤鬼よりは弱そうにも見える。


「・・・やって・・・やるよ」


この森で逃げ続けてもいいが、逃げ続けて王国に無事に帰れたとしても、ダンには全く敵わない。

で、あるならば・・・少しでもレベルやスキルを強化したいところではある。


それに、強くなるヒントなら得ている。


刀に流す魔力を属性に変換し、気も同時に込めること。

刀にそれらを纏った状態で、別の魔法を使えるようにすること。


これが出来るようになれば・・・せめて最初の1つは出来るようにならなければ、ダンとは戦えない。


これを学院に着くまでに、身につけていなければならない。

じゃなければ・・・到底敵わない・・・。


マンモスは流石に無理だろうけど・・・お前なら。


ダンの憎たらしい顔が浮かぶ・・・


今は怒りを力に変えて―――



自分で目つきが変わるのが分かる。


冷徹になっていくのが分かる。



そうして研ぎ澄まされたままに・・・刀を、振りぬいた。


―――――

――――

―――

――


どれくらい時が過ぎたのだろう。

把握できないほど、時間ばかりが過ぎたように思える。


あれから分かったことは、ここはどうやら迷宮の森で間違いないということだ。

大量のゴリラを積み上げて、上に登って確認した。

天を突くほどの山が見え、そしてあれは間違いなくリグム村から見えていた山であった。


だが、出口は見えない。


どれだけ進もうと、リグム村は全く見えてこない。

方向も分からなくなり、果たしてこっちであっているのかも不安になってくる。



そして、未だに属性変換が出来ていない。

ずっと試してはいる。

だが、やはり反発する・・・何度やっても、加減を変えても、無理だ。


そもそもの考え方を変えるべきなのだろうか?

気は刀も自分の体の一部だと思って纏う。魔力は剣に流す。この感覚でできたのを思い出す。


魔力を返還させて流すと、気を纏い切れず、反発しあって霧散してしまう。


ん?まて・・・思い出せ。


ダンは・・・レイピアに電撃と炎を纏ったように見えたんだ。


俺はそう思ったんだ・・・。


なら、やはり根本が間違っている?


両方纏わせればいいのか・・・?


だが・・・今一うまく出来ない・・・


気の考え方が違うのだろうか。


気はそもそも体の内側にあるものだ。それを纏うという考え方がそもそも違う?


内側から、外側に向かって気を流す。刀も同様に、体の一部だと思って、内側から外側へ。

そこにまず、魔力を流す。


すると、今までにない鋭さになっているのが分かった。

もしかしてだが、俺は出来てると思っていたことが出来ていなかったのかもしれない・・・


そこで、魔力を雷に変換するが・・・


「クソッ!もう少しのはずだ・・・何が違う・・・」



ああ・・・


属性は纏うのか。


自分で思い出しといて、また忘れていた・・・。


魔力は魔力で必要なんだ。


気と魔力を流し、属性を纏わせる。


なんだ・・・単純なことじゃないか・・・

間抜けだなと自分でも思う。


属性は付与でいいのか・・・


でもこれで、やっと正解に辿り着けた・・・と思う。


まだ改善の余地があるのかどうかは分からないが、これで一応はダンに一方的に負けるという事はなくなったはずだ・・・


「ん・・・?」


森は続いている。

だが、雰囲気がガラリと変わった。


木の1本1本が太くなり、リグム村の近くの森と同じような感じになった。

もうしばらく歩き続けると、リグム村へとたどり着くことが出来た。


ここまで来るのに1か月も掛かった・・・


だが、ここでのんびりは出来ない。

何か状況が分かればいいと思い、村に行きことにした。


そうして安堵しながら村に近づくと、それに気づいた住人が、慌てた顔をして村長の家に飛び込んでいった。


俺が久しぶりに来たものだから、村長を呼んでくれたのかな?

と、思ったのだが、それが全く違うことに、村長ブロデさんからの第一声で分かった。


「ジン、久方ぶりじゃが、なるほど、もう昔のジンはいないのじゃな・・・皆の者!罪人ジンを捕らえよ!」


その言葉に、俺は訳も分からず、ただ混乱するしかなかった。




お読みいただきありがとうございました。


ブクマ、評価は非常に励みになります。お手数ですが、していただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。