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失望者の異世界転生  作者: コバヤシ アキラ
第2章
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子供のお遊び


「ん?何気を抜いているんだい?」


ダンのレイピアが俺の肩を串刺しにした――


「つっ!?」


刺したレイピアに魔力が集中していく・・・


―――ヤバい!


咄嗟に右足に火と風の爆風を発動させての緊急回避。

右足を守る暇などなかったために、ひどく痛む。


あいつ・・・レイピアに電撃と炎を纏ったのか?


そもそも何故だ・・・何でスキルが効かない・・・?


「んー?ああ、何かのスキルを発動させようとしたのかい?ククッ・・・残念だったねぇ・・・」


「どうゆうことだ?」


「さぁ・・・」


そう言うとレイピアに魔法を纏ったまま接近してくる。

俺も刀で・・・いや、それどころじゃない・・・早くしないと―――



【フラッシュバン】



光り輝く閃光が、闘技場を模したようなこの場所を光で埋め尽くした。

デブスに駆け寄り、特級ポーションを首にぶちまける。


「へぇ・・・君ならこいつの所に行くだろうとは思ったけれど、気持ち悪いモノを持ってるんだねぇ」


時間にして1秒もない行動だったはずだが、ダンは俺の両足を切り裂きながらそう言った。

くそ・・・認めてやる・・・俺より強い・・・



膝から崩れ落ちる前に・・・爆風で距離をとった。


反応出来なかった。

デブスを助けに行こうとしていたのも読まれていた。


「同じことして逃げて・・・芸もないとはね。でもその気持ち悪いヤツ、それは使えるね!何度でも拷問ができる便利グッズだよ!譲ってくれないかな?」


にこやかにそう言うダンに、一種のおぞましさを感じた。


放置していいヤツじゃない・・・一応デブスは大丈夫・・・なはずだが、もう特級も残り二つしかない・・・


そして今、一つを飲む。残りは1本。


ふぅ・・・集中しろ―――


「なーんだ。無視とはね・・・友達なんだろ?譲ってくれたっていいじゃないか。」


そう言いながらレイピアに赤い雷のようなものをまた纏わせた。

あれは・・・多分魔力を属性にしつつ流し込み、気も纏っている?


俺も考えたが・・・まだ出来ない。


魔力を属性にし、流し込むことは出来るが、その上から気を纏わせるとなると反発しあって相殺される。

だから諦めていたことだった―――それをあっさりとこなしている。


「まぁージークに怒られちゃうけど・・・もう少し遊んでから帰ろうかなぁ」


そう言ってルーシーと戦った時の速度の約倍のスピードで突進してきた。

刀とレイピアが交わる。


「ぐあぁぁぁああ」


受け止めた瞬間―――体中が電撃で切り裂かれ、切れた個所を焦がしていく。

かすり傷程度のものなのに、その苦痛は身体中を切り裂かれたかのような痛みだった。


レイピアすら、受け止められないのか・・・

一旦逃げるように後退し、今度は魔法で応戦する。


【桜雷】


紫電がダンへと迫る・・・だが、


「君・・・もしかしてだけど、魔法と剣の同時行使できないんだぁ・・・」


そんなことを呟いて、ダンはレイピアに魔法を纏わせたまま、左手からも赤い雷を出現させ、俺の魔法を相殺した。



敵わない・・・剣も魔法も、何もかも・・・今の俺では弄ばれて死ぬだけだ。

ここまでコテンパンにやられたことはない。


ここまで実力差が・・・あるのか・・・



「でもまぁ、本当に期待外れだ・・・もっと強いと思っていたんだけど・・・もう君と戦うのも飽きちゃったよ。」


そう言うと、ダンはデブスを担ぎ上げた。


「ここは、まぁ楽しめると思うから、精々生きて帰ってくるといいよ。それまでに君の居場所は僕が作り変えておくから・・・楽しみにしててよ。まぁ、帰ってこれればの話だけれど」


そう言うとダンの足元に魔法陣が生成された。


「おい!待て!デブスをどうするつもりだ!」


「彼にはまだ使い道があるから・・・せっかく君が直してくれたしね、連れて帰るよ。あ、そうそう、僕の秘密を言い忘れていたよ。」



―――僕はこの国の王子様さ。



そう言って、ダンはこの場から、デブスと共に消え去った。


「くそっ!!」


そう言いつつ地面を思い切り叩いた。

そんな事をやったってなにも変わらない。そんなことは分かってる。


無力だ・・・何をやっても敵わなかった。


俺の今までの全てが否定されたような・・・赤子同然に弄んで、子供のお遊びに付き合ってあげたような顔をしやがって・・・


あんな奴が王子だと?

あんな奴が・・・俺より強いだと・・・


心が怒りで染まっていくのが分かった。

でも、そうしなければ、ここから動けそうにもなかった。


あいつを殺す――


それを決心して、ようやく動けた。


冷静になれ・・・

まず・・・ここが何処かということだが・・・


あいつは楽しめると言った。なら、ろくでもない場所というのは分かる。


思いつくのはダンジョン。


そしてここは・・・もしそうならボス部屋になるはずだが・・・


だが、周りを見渡しても、扉は1つしかない。


ここから出るしかない・・・か。


「鬼が出るか蛇がでるか・・・」


意を決して扉を開く―――


そこには、


照りつける太陽と、うっそうと茂った森が眼前に広がっていた。




お読みいただきありがとうございました。


ブクマ、評価は非常に励みになります。お手数ですが、していただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。

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