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失望者の異世界転生  作者: コバヤシ アキラ
第2章
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赤鬼


間一髪とは、まさにこの事・・・

色々とギリギリだったと思う。


俺がもっと早く、魔法陣に乗る勇気が出ていれば、こんなにギリギリにはならなかったんだろうけど・・・

そこまで長く悩んだわけじゃないけど・・・何処に飛ばされるか分からなかったし、俺だって怖かったんだ。


そしてこいつ・・・無我夢中で剣を受け止めたのはいい・・・むしろ俺を褒めてやりたい。


慌てていたせいで、魔力も気も流せなかった刀で、良く受け止められたと思う。


刀が折れる心配はしていなかったけど、単純に受け止められるか不安だった。


でも気を抜いたら・・・吹き飛ばされる。

馬鹿力・・・見た目も怖すぎる。


思考加速―――使えるスキルは全て発動。


一度ジャスミンたちを赤鬼の視界に入らないようにしたい。


すると鬼が力を緩めた。


今―――


刀を思いっきり振りぬく。

女神様から貰った刀を、これでもかと乱暴に使っているが、どうか怒らないでほしいと思う。


今はなりふり構ってられない。


醜悪な魔物、ひどい悪臭。



一瞬でも怖気づけば、のまれる。



「ナタリー!」


そう言ってひとつの小瓶を手元に滑り込ませるように投げる。

落としたとしても、頑丈に魔法をかけてあるから割れはしない。


ナタリーはそれをキャッチし、理解したのかすぐにジャスミンに飲ませた。


特級ポーション


もう残りは少ないが、ジャスミンは死にそうだ。ナタリーもちょっとひどいが・・・我慢してもらおう。

死にそうなほどの怪我は負っていないはず。


よし、後はコイツを何とかすればいいだけなんだけど・・・



俺一人で・・・できるだろうか。


っ!!!


そんな事を考えた瞬間、大剣が俺の横まで来ていた。


「ふおっ!」


全力で刀を合わせる。


が、身体が宙を舞い、壁まで飛ぶ。


体勢を立て直して壁に着地。


「オラッ!」


壁を踏ん張って蹴り、【火弾】を打ち込みながら、鬼の真横へ


【桜雷】


火弾はかすり傷程度、だが、そのかすり傷に紫電が食い込んでいく。


『UGOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO』


鬼が初めて雄たけびを上げた。


インベントリから弓を取り出す。

手持ちを全てぶつけてやる。


左手で桜雷を放ったまま弓を掴む。


これで終われ――


【漆黒の一撃】


バシュッ


と音がして心眼で淡く光った鬼の眉間に届く。



が、頭は頑丈なのか傷もつかない。


「硬すぎんだろが・・・」


鬼がこちらを睨む。殺気―――


弓をインベントリへ、刀を装備――


「オッラァ!」


魔力と気を刀へと注ぎ込む。毎日毎日レベル上げが出来ない代わりに訓練してきた技法。


すんなりと、魔力も気も、しみ込むように取り込んでくれる刀。


ここまでされないと出来ない凡人の俺。


でも今は、集中力が物凄くいるし、短時間しかできないが・・・戦闘でも使えるくらいには、出来るようになった。


鬼は余力を残していたのか、速度が上がり、一瞬で俺の前に飛んでくる。

それを刀で応戦する。


何度も何度も俺の刀と鬼の大剣が交差する。

やばい・・・手がしびれるほどの一撃を何度も何度も打ち付けてくる。


ポリスの効果で身体能力が大幅向上しているのに同じくらいなのかっ


俺の身体に少しずつ傷がついていく。

何とか防げてはいるが、若干押し込まれて腕や足の皮が切れていく。




だが、ずっと続くかと思われたそんな攻防も、終わることになる。


キーーンと甲高い音とともに、大剣と刀が交わった時だった。


ミシッ


魔力も気も流し込んでいないだろう大剣が悲鳴を上げた。


鬼は迷わない。それが使い物にならなくなったと見るや、一度離れて距離をとり、その大剣を俺に向かって投げつけた。


おそらく、俺の後ろに生き残っている冒険者がいることを分かっていて、投げた。


「ふぅ」


息を吐く、思考加速をフルに・・・集中する。


刀を上段に構え、


一閃


前世で刀が銃弾を斬る動画を見たことがある。

真っ二つにされて、左右に分かれていく動画なんだが・・・今、それを再現した。


真っすぐに飛んできた大剣は、綺麗に半分になって左右に分かれ、壁に突き刺さった。


ヤロウ・・・


すると、鬼がもう一段改速くなる。

真っ赤な壁と床のせいか、鬼の金眼だけが素早く動き、浮いて見える。


その速さについていくのが必死で、鬼が姑息な手段を使ってくるなんて考えられなかった。

鬼は俺と衝突するかという時に進路を変えた。


「ジャスミン!」


鬼はジャスミンとナタリーに向かった。気が付かなかったが、俺が追いつける速度で、ゆっくりとだ。



そして目の前に入り込もうとしたとき、鬼の右手が不意に俺の顔面を捕らえ・・・



俺はそれをモロに喰らって吹き飛び、壁がへこむほどに叩きつけられた。




お読みいただきありがとうございました。

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よろしくお願いします。

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