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失望者の異世界転生  作者: コバヤシ アキラ
第2章
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変態紳士


「で?誰にするか決めたのか?」


丑三つ時になろうかという時刻、辺りは静まっており、誰もこの二人には気づかない。

兵士で夜勤の者もいるだろうが、今は戦争もなく、気の緩んだ奴ら、そんなものはどうとでもなった。

それにそもそも部屋の中であり、その行き来に注意するだけでいい。


「いや、それがまだ決まらなくてですね・・・あのお方を喜ばせられそうな者って言われましても・・・」


そいつは考えていた。

誰をどう使ったら面白くなるか・・・あのお方を喜ばせられるのか。


「1人面白い奴はいるんですよ。名前はジンっていうんですけどね。見たこともない魔法を使うのです。」


「ほぅ。お前の先入観を植え付ける魔法が効いてないのか?」


「どうやらそのようです。どうやってこの魔法から逃れられたのか・・・調べましたが出身は不明。もしかしたら人族ではないのかもしれません。」


「ほう。確かに範囲外から来たのであれば影響は少ないだろうが・・・他の国にも同胞がいるはずだがな・・・まぁ注意しておくべきか。しかし、私としては、金色の奴も面白そうではあるが。」


「あれはさっき言ったジンって奴が守ってますよ。接触するにしても、まずはジンをどうにかしなければならないでしょうね。」


「注意しておくとは言ったが、お前がそこまで言う人物か・・・どうせならこちらに引き込めないのか?」


「何度か試そうとしたんですけど、どうやら先入観に囚われないように日ごろから抵抗しているようで・・・仲間にするのは厳しそうですね。もしかすると我らの存在にも気が付いているのかもしれません。」


「そうか、まぁ・・・所詮は目的までの遊びのようなものだ。邪魔なら排除し、使えるなら利用しろ。お前の魔法はギリアムと違って広範囲だが、洗脳まではできないからな。」


「分かっていますよ。まぁ、あれから生き残れればの話ですけどね、生き残ったら、罠にはめられそうな奴からちょっとずつやっていきます。」


「ああ、頼んだぞ。」


そうして二人の会話は終わった。貴族学院Aクラスに用意された部屋は広く、この会話が隣に聞こえることもなかった。



―――



日々の生活の中に幼女と紳士が加わった。


だが、ひとつだけ訂正しよう。

紳士だと思っていた奴は、実はそうでもなかった。


ゾーイにベタ惚れみたいなんだ・・・どうやら生粋のロリコンらしく、ゾーイに近づけさせまいと目をギランギランにさせていただけだった。


ただの変態だった。


つまり、幼女と変態が加わった。


それに気が付いたのは、ジョナサンが落としてしまった真っ白いハンカチだ。

いや、ハンカチではなかった。ゾーイのパンツだった。


遠巻きに見えたため、誰にも見られていないと思ったジョナサンはそのパンツを顔に近づけてスーハーと匂いを嗅いでいた。


で、その直後に俺と目が合ってしまい、いたたまれない雰囲気になったが、ジョナサンは優雅に俺に近づいてくると、物凄い勢いでジャンピング土下座をかました。


ズアア!っと勢いよく土下座すると、黙ってくれと懇願してきた。主君の物を盗んだのだ・・・窃盗罪だ。まぁ必死になるのは分からなくもないが、俺はドン引きしながらもみなかったことにした。


そしたら優雅に立ち上がった後、ゾーイ様は譲りません!と、またギラギラした目を俺に向けてきたから、貴方から奪い取ったりしませんと言って逃げ出した。


冗談交じりに何か言えばハンカチを投げつけられて決闘しそうなほどの殺意があった。

投げられるのはパンツだったかもしれないが・・・。


そんな変な二人が加わっても、ルーシーもリーゼもダンもなんら変わらない。

クレアだけオロオロしてた。自分がどう接していいか分からないって感じだったが、ゾーイは特段、貴族と平民に関して思うところもないらしく、普通に話しかけ、「今日から友達じゃ!クレアも様なんてつけなくていいのじゃ!親しみを込めて、ゾーイちゃんと呼んでくれ!飯に誘ってくれ!」と言っていた。


特に変わらず、その後1週間が過ぎた。

その間にゾーイからは魔法陣を教わり、リーゼとクレアからは召喚を習った。


召喚に関しては、クレアに頼んだら二つ返事でOKを貰い、それを見たリーゼが「ちょっと!私にお願いすればクレアよりわかりやすく教えてあげるわよ!」と絡んできたって感じだったけどね。


ともあれやり方は大体理解できた。

召喚に関しては呼び出したら、自身と精霊に繋がりができる?とかで、一生その精霊しか召喚出来なくなるらしい。だからこそ、気に入られないとダメらしく、気に入られなかったら何もしてくれないんだそうだ。


俺はそれがちょっと怖くて、召喚はしていない。

ひねくれた精霊が出てきても嫌だし、1回限りのプレミアムガチャって・・・いいのを引ける気がしない。

運が高まるのを感じるまで・・・取っておこうと思う。


魔法陣は応用を習った。どうやれば複合になるか、威力や速度の調節等だ。

ただ、やはりそれを刻印して運用しないのは、複雑かつ刻印に幅が取られてしまうからだった。

簡単に言えばめんどくさいし、邪魔になる。

これは納得するしかないか・・・複雑なパズルみたいになっていて、五芒星や六芒星等の上に組み合わさるようにはめていくって感じだ。何かが違うと発動すらしない。


遊びの範疇にとどめておくしかなさそうだった。


そんなことを考えていると教官が教室に入ってきた。


「おーーし、授業するぞーーー」


眼鏡にスレンダーな如何にも教師ですっていう感じなのに、話し方は適当で、考えていることはよくわからない。名前はアベリ・シュナイザー・・・独身。

教官はそう言うと周りを見渡し、ニヤッと笑った。こういう笑い方をする時の教官はろくなことをしない。


「その前に、一つ朗報だ。お前ら授業暇だっただろ?課外授業を持ってきてやったぞ!どうだ!喜べ!」


ほら・・・一体何をするのやら・・・


お読みいただきありがとうございました。

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