B級冒険者の妹
ブクマをしてくださった方々、ありがとうございます。嬉しくて今日も頑張って更新いたしました。
銀髪とのやり取りの後日から、よくしゃべる奴が俺にではなく、ルーシーに付きまとうようになった。
確かに、仲良くしてくれとは言ったが、普通に接してくれればいいっていう意味だったのだけども、それを律義に守ってか、今まで寂しかったのかは分からないが、ご機嫌麗しゅうから入って、ずっとルーシーにべったり・・・ルーシーは苦笑を浮かべながら俺を見てくるが、助けてもらわなかったのもあり、俺が何か言うことはない。
良くも悪くも、影響を与えられるだろうな・・・。いいお返しになったと思う。
まぁ、お察しの通り、銀髪のことなのだが、俺に対しても多少は態度が良くなった。
ただ最初に、泣いたのは黙っていてくださいとか、そういったことのお願いを「分かりました。」と快くうなずいたことがきっかけになったのかもしれないが。
その後はルーシーと話しているのを聞きながら、たまに目が合うと、「あ、あんたなんかに話してないから!」とか、文句をいわれるが、邪険な目で見られたりとかはしないから、まぁ、いいだろう。
「上手くやったみたいじゃないか。どうやったんだい?」
そう軽々しく話してくるのは1人しかいない。
「おいダン。分かってたんだろ?」
「え?何のことだい?」
そう言って肩を竦めた。
「いや、知ってなかったら上手くやったなんて言わないだろ?こっちは分かってるんだからな?」
「ええ、ひどいじゃないか。完全な言いがかりだよ。それに知ってたら恩を売ろうと教えていたはずさ!そうだろ?」
「お前は・・・まぁ、そういうことにしとくけど、次は助けてくれよな?」
「う、うん。面白くてね。次はちゃんと教えてあげるよ。」
そう言ってテヘペロする。やっぱ知ってたんじゃないかと思いつつも、黙っておいた。
まぁ、結果的にルーシーの味方みたいなのが1人できたし、良かった?ってことにしとこう。
授業が終わり、そんな会話をしながら歩いていると、遠くから騒ぎが聞こえてきた。
その騒ぎを取り囲むように、他のクラスの連中が囲んでおり、「ちょっとあれやばくない?」とか、「教師誰も呼んでこないのかな?」とかヒソヒソ話している。
「ん?なんだ?」
「ちょっと見てくるよ。」
俺が疑問を口にするのと同時に、ダンがススっとそう言っていなくなった。
と、思ったらすぐに帰ってくる。
「ジン、ちょっとまずい。ルーシー様とリーゼ様なら止められると思うんだけど、同じクラスのクレアがちょっと危ない。」
すると奥から大声が聞こえてきた。
「平民如きが何で俺らよりも上のクラスにいやがる!体を売ったんだろう!本当のことを言え!」
「ですから!私はそんなことしていません!」
胸糞悪いな・・・差別というかなんていうか、嫉妬だろうな・・・。
そう思った時にはルーシーが前に進んでいた。
俺も慌てて追従する。前の人たちが割れるように道が開かれて行き、そこを進んでいく。
「やめっ」
「やめろ!」
誰かが言うのに被せて、ルーシーは大声で怒鳴った。
言いかけた奴の方を見ると、そこにいた奴を見て目を見開かざるを得なかった。
そこに立っていたのは・・・
「デブス・・・?」
見間違えるはずがない。赤の公爵家、赤髪に赤色の瞳、横の長さは俺の倍、豪華で派手な赤色の服装に身 を包んでいるそいつを見間違えるはず等なかった。
デブス・レッドフォードだった。
ルーシーは気付かないのか、そのままクレアを囲んでいた3人に怒鳴り上げる。
「貴様ら貴族だろ!恥ずかしくないのか!」
そう言い放った。
ルーシーがガチギレしてる・・・
「こ、これはルーシー様・・・いや、これは平民への教育でして・・・」
「貴族が嘘をつくか!貴族とはなんだ!言ってみろ!」
ルーシーはすごい剣幕で怒っている。クレアを取り囲んでいた3人の男がたじろいでいる。
「き、貴族とは・・・」
そう言って言い淀む。
「貴族とは民の為に働くものだ!つまり我らは民たちから信頼を勝ち取り、常に先頭に立ち、道を示していくものだ!お前たちは何だ!そうやって遊ぶ暇があれば、己の研鑽を怠らず努力をしろ!そういう義務が我らにはあるのだ!」
「「「は、はい!すみませんでしたぁ!!」」」
3人は90度に腰を折って礼をすると同時に一目散にその場を後にする。
すげーおっかねぇ・・・こんな切れてるルーシー見るのは初めてだぞ・・・
デブスは遠くからそれを見届けると、何事もなかったかのようにその場から立ち去ろうとした。
俺はちょっと興味が湧いて、デブスのもとに追いつくと声を掛けた。
「デブス・レッドフォード様、貴方様が先にお声掛けしたようですが・・・その、お嬢様が失礼しました。」
「そ、そんなわけあるか!この俺が平民なんぞに!それにお前も気安く声を掛けるな!」
そういってそそくさといなくなってしまった。
助けようとしてたんだろうな・・・多分だけど・・・もしかしたら、上下関係にはすごく厳しいけど、それだけなのかもしれない・・・不器用な奴・・・なのかな?
「あ、あの!ルーシー様!助けていただきありがとうございました!」
クレアはルーシーに向かってそう言うと、ルーシーは「うむ!当然だ!」とドヤ顔で言い放ち、
「ルーシーで構わんぞ!同じクラスだしな!」
と言うが、ここで遮ったのは銀髪。
「いけませんルーシー様、公爵家とは貴族で最上位。護衛のジンはともかく、平民にそういったことを許すものではありません。」
ルーシーは苦笑を浮かべ、ダンも肩を竦めている。
俺はそんな会話をシカトして、クレアに話しかけた。
「貴方も大変ですね。優秀ゆえに推薦されたのだとか・・・ご自身の意志はあったのですか?」
なんとなく、気になったから聞いてみた。情報によれば、農民だったが、魔法の才があったから推薦されたときいていたのだった。
「いえ・・・私なんて兄に比べれば優秀ではありません。本来であれば兄が入学する予定だったんです。」
「兄・・・?」
「あっ、すいません・・・その・・・関係のない話を・・・兄は、B級冒険者、疾風のタイラーっていうけっこう有名な冒険者だったみたいですけど・・・その、死んでしまったんですよ。それで代わりに私が・・」
B級冒険者疾風のタイラー
俺はそいつを知っている。いや、会ったことはないが、エリーさんから聞いたんだっけかな?ともあれ
「暗殺の被害者か・・・」
「!・・・どうして、それを知っているんですか!?」
俺がぼそりと言ったことが聞こえていたらしく、クレアは大声で俺に言ってきた。
「詳細は聞かされてないのか?」
「は、はい!暗殺されたとしか聞いてなくて・・・誰にやられたとか、そういったものは一切・・・私は、それが知りたいのもあって・・・ここに来たんです・・・。」
「うむ。なら、私の部屋に来ると言い!」
ルーシーは聞いていたのか、クレアを自室へと誘った。暗殺どうのこうのと、こんな場所で話すことはなかったな。
そんな話になるというのに、リーゼはついてくるらしく、ダンもまた、許可をとってすらいないのにくっついてきた。
「あの・・・お嬢様・・・このお二人は宜しいので?」
だからそう聞いたのだが、ルーシーは特に気にした様子もなく「かまわん!」とだけ言うと、そそくさと全員を引き連れて、部屋に向かった。
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