迷惑な絡みと決闘
「大丈夫なわけないでしょ!」
と、銀髪は声を荒げる。
本当にめんどくさい・・・
「いや、教官が言っていましたよね?私たちは生徒、それ以上でも以下でもないって。なら、私は生徒で、お嬢様も生徒、であるならば、一緒に食事をとるのも普通だし、何よりお嬢様が私にそう申されたのだから、大丈夫なのです。」
俺は教官が言っていたことをそのまま銀髪に返した。これなら大丈夫だろうと思ったのだが・・・
「それは教官側の、国王様の命で私たちをそう見るっていうことよ!でも貴方は執事!しかも平民でしょ?生徒である以前に護衛なの!分をわきまえなさい!その都合のいい解釈は所詮平民なのだから仕方がないのかもしれないけど・・・ルーシー様が良いと言えば全てが許されるわけじゃないわ!」
より一層語気を強めて俺を叱ってきた。
銀髪にも護衛というかメイドの格好をした女性が一人ついているが、何も言わない。
俺はチラリとルーシーを見ると、ルーシーは昼食をがっついている・・・
マジで役に立たない・・・
「うーん困りましたね・・・それはお嬢様の命を無視し、リーゼ・バレンシア様の命に従えということでしょうか?・・・生憎私はジュイデン・オリヴァー様からの命により、ルーシー様の護衛の任を任せられております。いかに伯爵家の命となれど、私の忠誠は公爵家であるジュイデン・オリヴァー様に誓っておりますゆえ、その命はお断りさせていただきたく・・・お嬢様の命を今は第一と考えております。」
こんなんでいいのか?話し方とか未だによくわからないけど・・・多分言えてる?
俺がそんなことを心配していると、銀髪は顔を真っ赤にさせてまた怒鳴る。
「いいわ平民!貴方執事以前は冒険者でしょ?それなら私にも考えがある。フェリス!」
銀髪がそう言うと、後ろに仕えていたメイドが短く「はい」と返事をし、そのメイドが白い手袋を俺に投げつけてきた。
「は・・・?」
意味が分からないんだが?俺はそれを躱すと後ろに白い手袋がパサリと落ちた。それを振り返ってまじまじと見るが・・・やっぱりただの白手袋だ。
なにこれ?
銀髪はそれを見てフェリスと呼ばれたメイドに「ちゃんと当てなさいよバカ!」とか怒っていた。
どうやらあれに当たったらダメだったようだ。
俺はそれを拾い上げてメイドに返す。
すると辺りがざわついた。
「ちょ、あいつまじか・・・」
「うわ、死んだなあいつ・・・」
と周囲から物騒な声が聞こえてくる。
「ふっふふふ・・・そこまで馬鹿にしてくるのね・・・フェリス!受け取りなさい!!!」
銀髪がそう言うとメイドは黙って俺の渡した手袋を受け取った。
「お!ジン!!決闘するのか?」
ルーシーがそんなことを急に言い出した。
何言ってんだお前?
「決闘?」
「うむ、この学院は白手袋を渡し、それを受け取ると決闘となる。受け取った方がルールを決められるっていうものだぞ!」
・・・・・・知らなかった。
俺は白手袋を躱して逆に突き返した・・・ってことは、『ルール決めてどうぞ!負ける気しないんで!』って解釈されるってこと?
よくよく見ればメイドも顔が引きつっている・・・かなりオコだ・・・
「決闘は今日の放課後!一対一の何でもありの勝負よ!ルーシー様の護衛といえど、容赦はしませんからね!たかが平民の冒険者が、私をコケにしたことを思い知らせてやるんだから!」
銀髪はそんなことを言って離れていった。
なんなのあいつ?意味が分からないんだけど・・・勝手に文句言って、決闘仕掛けてきて、目立ちたくなかったのに、めちゃくちゃ目立ってるし・・・
なんか腹立って来たな・・・ルーシーはフォローも何もしないし、貴族ってこんな馬鹿共しかいないのか?
「いやー災難だったね!」
そんなことを思っていると声をかけられた。
同じAクラスにいた護衛を着けていない男で爽やかで端正な顔立ちだ。
ジークフリード教官とはまた違ったイケメンだ。
爽やかイケメン率が高いのはどうも慣れない・・・
「そう思うなら助けてくださいよ」
「いやーあれは無理でしょ!あッ僕はダン・ウェイカー!気軽にダンって呼んで!僕は護衛とか貴族とか身分なんて気にしないし、まぁ男爵だから平民みたいなものだけどね。よろしく!」
「私はジンと言います。よろしくお願いします、ダン。」
そう言って俺らは握手を交わす。なんだ、いい貴族もいたもんだな。
「敬語もよしてよ!いった通り平民と変わらないからね!それに冒険者にも興味があったんだ。あ、ルーシー様もよろしくね!」
ルーシーをついでみたいにサラッとあいさつしやがった・・・
「ん?うむ!よろしく頼む!ところでどこかであった気がするのだが・・・」
「え?いやいや、平民と大差ない貴族ですから・・・ルーシー様の領に遊びに行ったときに目に入ったとかその程度だと思いますよ!」
「ふむ、まぁいいか!午後の授業も始まるし行こうか!」
そうして午後の授業が始まり、銀髪にチラチラと睨まれていたが無視しつつ無事に授業は終わった。
そして闘技場に行く。試験を行った入り口を入ってすぐの場所ではなく、地下にバカでかい闘技場があった。
コロッセオみたいな円形の闘技場で、観客席があるが、中心部分は平になっており、ここで決闘をやるらしい。
「ルーシー様!・・・ルーシー様の護衛とはいえ、この不届きものは処分させていただきます!」
「ジン!手加減してあげるんだぞ!!」
ルーシー・・・度々銀髪を無視するのを辞めて差し上げてくれ・・・
顔がまた真っ赤になっているじゃないか・・・
俺とメイドが向かい合う。そして何故かダンがその間に入る。どうやら審判らしい。
「それじゃあ両者準備はいいですね?・・・それでは・・・・はじめ!!」
ダンの掛け声とともにメイドの手に大鎌が出現し、俺に急接近してきた。
「ヒャッ!!!」
何が来ても動じないと思っていたが、メイドがバカでかい鎌もって近付いてくれば誰でもビビるはず・・・だからそんな声を出してしまった。
しかも予想以上に速い!
俺目掛けて鎌が振られ、俺はそれを風の魔法を行使し、鎌の勢いを殺しつつ後ろに下がる。
だがメイドも俺の体勢の立て直しは許してくれないらしい・・・またもや急接近してきた。




