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失望者の異世界転生  作者: コバヤシ アキラ
第1章
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その後


ギリアムを倒し、回復した俺たちは、ルーシーの父、ジュイデン・オリヴァーによって、あの迷宮の森での功績が称えられ、褒美を貰えることになったのだが・・・


俺らは、リグム村の復興に当ててくれと突っぱねると、ささやかなパーティーには出て欲しいと懇願されてしまい、仕方なしに参加することになった。


最初に亡くなった騎士や冒険者に黙祷をささげ、前線で戦った騎士や冒険者、身分関係なく尽くした者が、この城へと招かれていた。


「師匠、ここの領主は身分とか気にしない人なんですか?」


俺は気になったのでヒューグさんに尋ねる。


「あ?おいジン、気になってたんだが、なんで師匠って急に呼び出したんだ?慣れねえよ全く・・・。」


「ああ、俺も恥ずかしかったんですけどね、あの時は師匠って呼ぶのがしっくりきてしまって、まぁ、いいじゃないですか!」


そう言ってはぐらかすと、師匠も「ま、いっか」と言って話を続けた。


「それでここの領主の話だったか?

ここの公爵様は身分なんて関係なく接してくれるお方だぞ。

王国じゃあ怪我して何処でも働けなくなった奴なんてのは無視されるが、ここは違う。リグム村はド田舎だけどな、住む場所を、仕事を与えてくださる。だからこそ、冒険者は皆、オリヴァー公爵様が好きだし、協力するのさ。」


なるほどな。王国にもそういった人がいなければ、魔物の駆除を騎士がしなければならなくなる。そうなればとっくに戦争で負けていそうだな。


ルーシーの親父は立派な人らしい。


チラッと奥に座っているその人物を見る。

ガッシリとしたその体格に高級そうな服を纏ってはいるが、厭味ったらしくなく、気品溢れる佇まいと相まって王様といっても納得しそうなほど威厳がある。


その横には女性が2人とルーシー、そしてちっこい男の子が座り、1人を除いて冒険者や騎士達と談笑している。


冒険者や騎士達も楽しそうに話しているところを見るに、公爵という身分を振りかざしていないのが良くわかる。


で、一人だけ料理にがっついている女をまじまじと見る・・・


(ルーシー・・・お前・・・・)


一応は聞き耳を立てているようにはしているのだろうが、料理を食べては、「うむ!」「こっちは?・・・うむ!」とか、ずっとうむうむ言いながら黙々と飯を食っている。


確かに俺らが食べていた飯と比べるとうますぎるが、公爵のご令嬢なんだから、少しはさぁ・・・


するとルーシーと目が合った・・・・


「ジン!!!これ物凄くおいしいぞ!!!こっちに来て食べてみろ!!!」


公爵達も冒険者や騎士までもが一斉に視線が俺に向く。



(やめてくれえええええええええええええええええええええええええええ)



師匠はプイっと顔を背けて気配を消して離れていく・・・

逃げやがったな・・・・・


ここで俺はどうするのが正解だ?公爵令嬢に声をかけられて、知らぬ顔で無視なんてできないし、かと言って何も気にせず普通にも話せないしな・・・


そんなことを考えながらどうするかと迷っていると、俺は困った顔になっていたのか、ルーシーの父がにこやかに声をかけてきた。


「おお、ジン殿!そんなところにいらしたか!諸君!こちらは今回の英雄の一人であるジン殿だ!聞いた話、数々の魔法を使いこなし、数千の魔物を屠ったそうだ!お気になさらず、こちらに来てくだされ!!」


「「「おおおーー」」」


と周りの人たちがすごい人を見るような眼差しを向けてくる。


いや、だからやめろよ・・・・


だが、公爵から直々に呼ばれたのなら行くしかあるまい・・・俺は恐る恐る歩いていく。

あんだけあの森で目立ってしまったからな・・・しょうがない・・・


「初めまして、オリヴァー公爵閣下。私は冒険者のジンと言います。ルーシー様とはパーティーを組んでおりまして・・・その・・・」


俺はしどろもどろに自己紹介をするが、なんて言っていいのか分からない。

すると公爵は、


「よいよい。閣下などと付けないでくれ。ルーシーからはパーティーの件も聞いている。なんでも、一緒の部屋で寝るほどに仲がいいそうじゃないか。んん?」


あ、これやばい奴だ・・・・・

ルーシーの姉と思われる2人も目をキラキラさせたり、「まぁ!!」と言って、頬を赤く染めたりしている。


「い、いえ・・・その、おれ、私はルーシーが公爵家の者とは知らず、仲間として別々のベットで寝ていただけでして、ですので、そういったことはなく・・・だからその・・・ご心配なくといいますか・・・」


それを聞いてみなつまらなそうな目になる。


なんなんだこの家族は・・・男の子までその目はやめろよ・・・なんだそのヘタレを見るような目は・・・


だが、ルーシーはキョトンとこちらを見て?マークを頭に浮かべると、またガツガツ食べ始めた。


この時ほどルーシーを叩きつけたいと思ったことはない。


俺は弁明やらその時の経緯やらの説明でパーティーを終えるのだった。

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