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失望者の異世界転生  作者: コバヤシ アキラ
第1章
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スタンピード

俺らは今、馬車に乗ってルーシーの故郷オリムウェルという街に向かっていた。


何故かと言えばルーシーの父ジュイデン・オリヴァーの使者がルーシーを呼び戻したのだ。


その理由はスタンピードだった。


発生場所はリグム村の森。あの迷宮の森である。


数はおよそ4千から5千。


発生から既に5日経っており、状況は不明であるが、公爵家にはその土地を守る義務があった。

その義務は領地を離れていても同様に発生する。


その領地を領民を守るのが使命だからだ。


リグム村と聞いたときは胸が張り裂けそうになった。

俺の故郷となったあの場所が魔物の脅威に晒されている。


ルーシーは、自分の使命であり、死地に飛び込むことはないと論してきたが、俺の故郷であり、大事なパートナーの領地。そこにルーシー一人を行かせて、俺だけが安全な場所にいるなど考えられないことだろう。


「お、あれがお前の故郷か?随分デカいな・・・」


「うむ!一応は公爵家で、王国の5分の1を任された家の1つだからな。

何代にもかけて繁栄させてきたのだ!」


王都にも引けを取らない大きさの街が見えてきた。

王都と同じく分厚い壁が聳え立ち、外敵の侵入を阻むだろう。門も立派なつくりであり、とても頑丈そうだ。

出入口の門は東西南北に1つずつ設置され、中心には城が立っている。


「ん?お前城に住んでたの?」


「へ?何を今更?当然だろう?」


え?そうなの?王様しか住めないと思ってたわ。

何はともあれ・・・


「よし、ルーシーと俺はここで一旦お別れだな!」


ルーシーは公爵家の三女であり、この領地を守る義務がある。

俺は今すぐにでもリグム村に行きたい。


絶対に食い止めているはずだ。あの元冒険者だった屈強な人たちがたかが魔物に後れを取るとは思えない。

というよりも、もう終わってるんじゃないかとさえ思える。


だが、怪我はしているだろう。ゼロなんてのはありえないのだから、俺の特級ポーションが必要になるかもしれない。


なら、早く届けて上げたかった。


「う、うむ・・・わかった。無茶だけはしないでくれよ?すぐにでも追いつくからな!」


ルーシーは最初はずっと食い下がってたが、ここに着くまでに説得した。

特級ポーションを山ほどもっているんだ。それで何とか了承を得た。


俺は馬車から飛び降りて走り出した。


身体強化と風魔法で俺は馬より速く走れるようになっていた。


最速の移動方法に氷と雷を使おうかとも考えていたが、死にそうな目にあってからは風だけで我慢している。


ここから馬で1日、俺の脚なら半日もかからない。

この体はpotentialのおかげか、かなりの体力がある。

ハッキリ言って疲れ知らずで、常にベストコンディションになっている感じがする。

精神だけは疲れるから、休息は大事だし、睡眠しないとダメなのは変わらないんだけどね。


とはいえ半日たち、リグム村が見えてきた。


俺は安堵した。

ここまでに魔物に会わなかったという事は、リグム村が抑えているということであり、無事であるということなのだから。

そして村が見えた。まだ村の形がちゃんとあるし、煙なども出ていない。

みんな無事なはずだ。


俺は村にはいると、先に見えたのは魔物の群れ。

一面を覆いつくすほどの魔物。

そこにスライムやゴブリンなんてのは見えない。

オークや狼の上位個体のような奴、オーガといわれる鬼の魔物まで、幅広く統率をとって攻めてきている。

この5日よくもったものだ・・・。


後ろには怪我を負っているものが複数おり、そこには既に到着しているオリヴァー領等から派遣された騎士と思われる者達も複数いる。


俺は村長を見つけて駆け寄ると、挨拶もほどほどに特級ポーションを鞄に入るだけ詰めると渡した。


「なっ!ジン!!これはなんじゃ!!こら!待たんかっ!!!!」


「村長に任せる!考えて使ってくれ!!!!」


俺はそれだけ言いながら前を向き、すぐさま最前線に向かう。


俺のpotentialを今使わずしていつ使う?助けられる可能性を秘めているのに、それを見て見ぬふり等俺は出来ない。


恐怖も何もない。そんなことを考えている余裕はない。


本当なら誰かの指揮下にはいるのが普通だし、邪魔にもならないだろうが、今まさに目の前の人たちが死にそうな光景を見ていられない。


駆け寄りながら死にそうな人たちの前に斧を振り落とそうとしているオーク共の頭を火弾で打ち抜いていく。

そして、一番戦力が足りなそうな場所へ、自分の目で見て判断する。


風を操り跳躍し、人と魔物の間へ割って入ると、最大出力で風の突風を前方にぶっ放した。


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