初めてのダンジョン
王国へ行く途中みたいにグレイトドラゴンに遭遇するなんていう不幸が起きることもなく、無事にエストへとたどり着いた。
アレは結構なトラウマを俺に植え付けてくれたワケだけども、そんなことが何度も起こるもんですか、ってね。
この町は王国ほどじゃないにしろ、それなりに発展している。
ダンジョンが近いおかげか、冒険者も多いみたいだ。
カナリム王国にダンジョンは3つあるみたいだけど、ここのダンジョンはその中で2番目の攻略難度だそうだ。
Dランクの冒険者からしか入れず、大体Bランクまでが多く活用しているらしい。
ダンジョンというのは、ワンフロアがある程度の広さを有しており、一つの世界のようなものとなっている。
俺にはよくわからんが、魔素とかいうのが世界に干渉してるんだとかなんだとか、魔物もそのマソとやらで生み出されているのか、強化されているのか、野生よりもダンジョンの魔物の方が明らかに力が強いらしい。
その階層によっては、1匹の個体しか生まない場所もあるようで、その魔物をいわゆる階層主、ボスと呼ぶ。
気を付けなければいけないのは、行きよりも帰りなんだそうだ。
調子に乗ってどんどん倒しながら進んだとしても、帰りにも同じように魔物が産み落とされている可能性もあるんだと。
じゃあ攻略とか少人数では無理だと思ったが、10階ごとに魔法陣が設置されており、それで出口まで戻れるとのこと。
この魔法陣は元からあったのか、誰かが設置したのか、全く記録に残ってはいないんだと。なんともご都合主義のような感じではあるが、そうなのだからしかたがないし、考えても分からないものは放置してうまく利用させてもらうのが一番だろう。
町について1日休み、必要なものを取り揃えていく。俺のトラックがあれば荷物にならないし、時間も停止するからね!これは本当にチートすぎる。
俺の武器は弓だけ買い替えた。もうボロボロでいつ壊れてもおかしくなかったからだ。ちょっとだけいいヤツを買ってみた。
そうして準備を整えてから冒険者ギルドへダンジョンの申請許可を貰いに顔を出した。
「ん?エリーさん???」
「あ!ジンさんルーシーさん遅かったわね!」
なんか普通にエリーさんがいるんだが?しれっと挨拶してきた・・・
「いや、あれ?何でいるんですか?」
「ええ、私はお二人の専属みたいな感じになりました。お二人が移動する先をお伝えしていただければ、王国内だけですが、いろいろとサポートしますよ!」
いや、ものすごくありがたいんだけどね。俺らからしたらすごく助かるし・・・だけどさ
「そんなの大変じゃないですか!いいんですか?」
大変すぎるだろ。俺らに合わせていちいち移動しなければいけないし、手続きもあるはずだし・・・
でもエリーさんはニコっとしながら「暇だしこっちの方が楽しそうなので気にしないでください」とのことだった。
まあそれでいいのなら助かるし、頼りになるからね・・・よろしくお願いしますと伝えてダンジョンの申請許可の手続きを行った。
さて、すぐにダンジョン!・・・というわけではない。ここから馬車に乗ってダンジョンまで移動する。
そこまでは馬車で1日の場所だから、近いと言えば近いのだが。
俺たちは早速出発した。
1日かけて目的のダンジョンに到着した。
初めてのダンジョン、迷宮、それはなんてことのないただの洞窟で、そこには鉄の扉が付けられている。
その扉には魔法陣が描かれており、どうやら許可した者しか入れないようになっていた。
なかなかにファンタジーである。
俺らは早朝に着いたこともあり、そのままダンジョンに突入することにした。
扉を開けて中に入る。真っ暗かと思ったが、そこは壁がわずかに光っており、視界に困ることはない。遠くは見えないけどね。
俺らは互いに頷きあって中に足を進める。
中はそのまま洞窟になっているが、道はそれなりに広く、天井も高い。これなら普通に戦闘をしても剣を十分に振れる広さがあるし問題にならなそうだ。
1階にはゴブリンが集団で闊歩していた。
「前方に敵、数は8だ。」
俺は短くルーシーにそう言うと、ルーシーも頷き剣を構える。俺は弓を構えながら静かに地面に片膝を付ける。
距離は200、曲がり角、その先頭が姿を現した瞬間、俺は弓矢を放つ。
眉間に弓矢が突き刺さり、グガッと短い声が微かに聞こえ、そのまま消滅した。
そして直ぐに次の矢を構えるのだが・・・・ゴブリン達は足取りを止めて壁から姿を出さずに警戒態勢に入っている。
これだけでも今までの間抜けなゴブリンとは違う。森のやつらなら、躍起になって俺らの方に走って襲って来ようとしただろう。
洞窟であれば好都合。俺らの先にダンジョンに入った者はとりあえずいない。であるならば・・・
俺は水魔法をぶっ放してなるべく洞窟の広範囲にまき散らしていく。
これで何体倒せるのかちょっと楽しみだ。
十分に水を行き渡らせたと思う。残りのゴブリンの7匹はとっくに足が水に浸かっているだろう。
水を出すだけなら、生活魔法と変わらず、魔力はさほど必要ない。
後は雷だけ、ほどほどの威力で水に向かって放出する。
バチバチバチ!!!っと水に放つと音をたてながら一瞬にして拡散する。
グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
ダンジョンのあちこちから悲鳴が鳴り響いた。
「「・・・・・・・・・・」」
「やりすぎたかもしれん・・・・。」
「だろうよ・・・・。」
ルーシーは呆れながら返答してくれた。




