留置拘留
トラックから拘束に使える縄を取り出し、縛る。
手錠がなくてもこれくらいは余裕である。
「さて、ヒューグさんになんの用なんだ?」
男は今も苦痛に顔を歪めている。だが、止めてやる気など俺には全くない。
そして、答えないのであれば・・・
「・・・・・」
「なんだ?まだ追加してほしいのか?」
そう言って俺は闇魔法を矢のようにさせ、痛みだけを与えるべく右手に突き刺した。
「ぐゎ・・・・・・・・・・わ、わかった・・・話す・・・抹殺命令がでていたんだ・・・理由は知らねぇ・・・・この痛みを・・止めてくれ・・・」
当然、痛みの止め方なんて知らない。・・・まぁ魔力操作して無くせばいいんだろうけど、止める気もないしね。
「誰の命令だ?」
「て、帝国だよ・・・もういいだろ?」
帝国がヒューグさんを狙ってる?なんでだ?
「お前も帝国からきたのか?」
「そうだ」
「ならなぜ、依頼を出した奴のことを知らんのだ?俺は誰の命令だと聞いたんだが?」
「・・・・」
「そうか、お前は実験に使わせてもらう。」
(留置拘留!)
俺は心の中で唱えると、【トラック】で物をしまう時のように、男は異次元に吸い込まれていった。
固有スキル【ポリス】Ⅹ 留置拘留:最大30日、地球での重大犯罪行為を行ったものを拘束した場合に使用可能。異次元に留置できる。その間非拘束者は意識以外時間停止される。
この男の場合は殺人未遂が成立する。今回確かめたかったのは、どのようになるのか、未遂でも成立するのか、若しくは、過去の殺人等の罪があった場合でも成立するのかというところだ。
これで、今回そのうちのどちらかが適用され、留置拘留が発動したということになる。
そしてステータスと同じように画面が出現した。
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留置拘留
残り日数 : 29日 23時間58分38秒
取調べ : 念話にて取調べができる。
回収 : 持ち物を任意で回収できる。
釈放 : 留置拘留した時の状態で解放する。
執行 : 死亡させて解放するか消滅させるか選択可能。
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となっていた。
かなり恐ろしい・・・・・・
拘束してしまえば、相手はいつ出れるかもわからない牢獄に、動けもせずに行く羽目になるわけだ・・。
俺も殺人未遂みたいなものだが・・・俺にも使えるのか?使わないけどさ・・・
でもまあ、まだ気を抜いてはいけないけど、助かったな・・・
「ルーシー、警戒しながら宿に戻ろう。話さなければいけないことがある。」
俺がそう言うと「わかった」とだけ言って歩き出す。
敵は逃げたか1人だったか、多分後者だったのだろう。何事もなく宿に着くと、ベットに腰を下ろした。
「まず、ルーシー、巻き込んでしまって本当にごめん」
俺は立ったまま、ルーシーに向かって頭を下げて謝った。
ルーシーは戸惑いながらも、「事情を説明してくれるか?」とやさしく尋ねてきた。
俺はヒューグさんについて、俺の剣術等の先生で、腕の怪我が原因で冒険者を辞めていたが、腕が治り一緒に王都にきたこと等を説明した。
「って感じなんだが、なんでヒューグさんが狙われているかとかは全く分からないんだ・・・。」
「それって、ジンは悪くないだろ・・・なんで謝ったんだ?」
「え?いや、俺の先生のことで巻き込んでしまったのだから、普通だろ。」
「ふふ、まぁ、わかった。それで?どうするんだ?」
「うん。そのことなんだけど、とりあえず、さっきの襲撃者を捕まえて監禁してるから、問い詰めてみるよ。」
「???・・・ま、まあ、ジンだからな・・・・」
ルーシーは疑問に思いつつも納得してくれたようだ。
俺は取調べを実行した。
(おい!聞こえるか?)
(き、聞こえる!・・・おい!ここはどこなんだ!!俺はどうなっちまったんだ・・・!)
と、まぁ大分パニックになっている様子だ。
(お前の名前は?まずはそれからだ。)
(ダミアンだ・・・。)
(ダミアン?悪魔の子か何かか?)
(俺のように、帝国で雇われた暗殺者たちは・・・皆同じダミアン、という名をつけられている・・・)
ダミアンは先の俺の攻撃による痛みと、わけのわからない異空間にいる恐怖感からか、声を震わせながら苦しそうにしている。
そんなことにはお構いなくさらに脅しをかける。
話さなければ、永遠にお前は苦痛を受け続けながら死ねない時を過ごすだとか、魔王にでもなった気分で脅してやったらすんなりしゃべった。
まず、帝国が王国と戦争しようとしてるらしい・・・そして王国の戦力を削る為に、定住している冒険者の始末をし、傭兵を少なくするんだと・・・
そこで始末しておきたいのが二つ名持ちの冒険者。
その対象に戦闘狂ヒューグが挙がった。しかも魔法が使えないのにグレイトドラゴンを仕留めた強者であり、帝国としてはその危険分子は抹殺したいとのことであった。
最早ダミアンは俺のことを悪魔か何かと勘違いし、愚痴まで漏らしている。お前の方が悪魔なのに・・・。
しかし、俺の能力まで知った暗殺者を釈放すれば、俺も他の誰かも危険な目に合う可能性がある。簡単に釈放なんてするわけがない。
てか、戦闘狂と聞いて思わず飲んでた水を吹き出しそうになった。
それでビビられていたのか・・・
そして今回ヒューグさんを殺すように命令してきた奴が、帝国宰相のギリアム・アベスドールという男らしい。
宰相って帝王の政務の補佐とかする1番偉い奴だろ?
それにスタンピードが起こるように操作もしているらしいとのことだが、これについては詳細はわからないと言っていた。
俺はどうすればいいんだろうか・・・。ヒューグさんに接触を図りたいけど・・・エリーさんに聞いてみるしかないか。
俺は今聞いたことをルーシーに話し、今後の方針を決めることにした。
「・・・・それで悪魔さんは、エリーさんにヒューグさんと会えるか聞こうということだな?」
「おいおいおい!なにが悪魔さんじゃい!」
とりあえず俺らはエリーさんにヒューグさんと連絡付けられるか聞いてみることにしたのだった。




