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失望者の異世界転生  作者: コバヤシ アキラ
第1章
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その甲冑・・・

翌朝、宿で朝食を食べて今後の方針を決めた。


ルーシーは剣術士で、少し細めの片手直剣を使う。盾はない。

俺は魔法士だという事を伝え、まずはゴブリンを倒しに行くことにした。


互いの実力を確かめるためだ。俺はスライムを推したのだが、ルーシーはゴブリンでも楽勝だと言ってきがず、ゴブリンの依頼を受けることになった。


で、森に来たわけだが・・・・


「せい!!!!やっ!!!」


とルーシーが叫びながら剣をふるうが、遅すぎる剣にかすることすらなく、空を斬る。ゴブリンもゴブリンで、ルーシーの鉄壁の鎧に攻撃は全て弾かれ20分くらいずっと戦っている・・・・・。


「あの・・・ルーシーさん?」


俺はジト目でルーシーを見ながら問う。


「う、うるさい!何のこれしき!!やぁ!!!」


その会心の一撃もゴブリンは余裕を持って躱す。


「くっ!!これほどまでとは・・・・」


遂にルーシーは片膝を付く。

俺は火球を唱えて一撃でゴブリンを屠った。


「・・・・・」


「・・・・・」


「こ、これは!!!その・・・鎧が重すぎて・・・だな・・・・。」


「うん・・・必要な個所以外は取り外そうか・・・」


そうして鎧は大分無くなり・・・兜までなくなった。


「兜もつけないのか?」


「うむ。これがあると周りが見えん!私には無用な物だったのだな!」


ということで、その甲冑は跡形も無くなり、ほんのわずかばかり要所要所に着けられた程度になってしまった。


気を取り直して再戦。


結果的に言うとゴブリンをものともせずに圧勝してみせた。

驚くべきはその身軽さだろう。速さを活かしてうまく立ち回り隙を伺って

斬る。ヒット&アウェイを繰り返す戦い方みたいだ。

なぜ甲冑を買ったのかと聞くと、かっこよかったからだそうだ。

俺はこれ以上突っ込まないで上げた。紳士だからな。


ってことで、ルーシーは前衛、俺は臨機応変に動くことになった。

俺が短剣・弓・魔法と使えたものだから唖然としていたが、ルーシーは、

「相方が強いのは心強いし、習えるのもいいことだな!!」と言って喜んでくれた。いい奴である。


魔法の複合だけはまだ見せていないけど、それはいずれでいいか。

何故かと言えば、俺のスキル【トラック】にめちゃくちゃビビってたからである。


「おい!!私の甲冑が吸い込まれたぞ!!!」


とギャーギャー騒がれ、また出してやるとさらに騒いだ。俺のスキルだと説明し、けっこう物が入るんだと説明したが、これだけで疲れた。

甲冑が重そうだったから手伝ってやろうと、事前に魔法カバンのスキルみたいなのを持ってるんだと説明してもこれだったからな・・・余計な体力を使った。


こればかりは説明しておかないといろいろ面倒臭いからな。

弓矢とか取り出しのところはあまり見られないだろうけど、その時に話したんじゃ・・・ちょっと違う気もするしね。


「全く!ジンには驚かされてばかりだな!!!」


と、どこかで聞いたようなセリフを言われながら納得してもらった。


その後は連携の練習だ。俺の魔法と弓矢の軌道を確保してもらいつつ、それ以外のところから攻撃し、ヘイト(敵からの注目)を集めてもらう。


相手は俺の隠密のスキルもあり、ルーシーしかいないと思い込むだろう。

そこを遠巻きから必中させて絶命させる。

集団であればそれにより相手は動揺し、ルーシーの剣捌きにより安全に敵を倒すことができた。


なかなかのコンビネーションである。


狩り効率もグンと上がり、サクサク進む。今までは俺が獲物の傍まで近づき倒すと、他の奴らは逃げたりしていた。敵が見えないのだから当然なのかもしれないが、また探して歩くのに時間がかかるのだ。


その点ルーシーがいれば、そこに明確な敵がおり、俺が弓で倒したとしても、うかつには逃げられないのだから、しっかりと4,5匹のグループであれば逃がすことなく倒すことができる。


俺の範囲攻撃は森も傷つけてしまうので、もっとしっかりとしたコントロールがなければなかなか実行できなかったのだ。


これで互いに効率が上がり、ついでに薬草等の採取も単純に2倍近くの実績となった。


パーティーの力は恐ろしい。


どんどんゴブリンを狩っていく。狼を狩ったが、これも特に問題なくいけた。

ゴブリンより、狼のほうが集団としての強さは上だったが、ルーシーも問題なく倒せていた。

うん・・・ルーシー強くね?ってのが俺の感想だった。最初全身甲冑のノロマを見たからなのか?狼の速さについていけてたしな・・・


これならDランクの魔物に挑戦してもよさそうだ。

これだけ余裕を持って倒せるのだから、やってみて問題ないだろう。


そしてこの辺りのDランクの魔物といえば、森でいえばジャイアントボア、キラービー、コボルトらへんだろう。


この中で一番危険ではないのは、ジャイアントボアだろうか。


単体でいることが多く、ホーンラビットと同じように突進にさえ注意すればいいものの、その強靭な脚で複雑な動きを可能にし、ただ真っすぐに突進してくるというものではない。

そして速さもホーンラビットとは桁違いであり、気付けば一瞬で懐まで迫ってくると図鑑には書いてあった。


で、次の日に挑戦したのだが、なんてこともなくあっさり倒せた。

その速さには最初驚きはしたものの、2人で剣を握り、互いにフォローしあって危なげなく倒せたのであった。


というか、キラービーもコボルトも問題なく倒せた。

コボルトは少しルーシーが手間取ったけどね。


キラービーはなかなかにデカい蜂の魔物である。

注意すべき点は毒針を飛ばしてくるというもの。そしてその攻撃は空中から、集団で攻めてくる。

これにはルーシーはビビりまくりだったが、俺の魔法弓の連打で後ろからカバーし、ルーシーは俺の弓の軌道を予測しながら敵のヘイトを稼ぎ倒した。


これに慣れてくるとルーシーも攻撃に参加し、近くを飛ぶ敵を瞬殺した。

中距離攻撃を得意としているためか、防御はもろかった。


次にコボルトであるが、これに一番苦戦を強いられた。

コボルトは犬が人型になったもので、獣人とは違い、人語を介さず、人を襲い食べる魔物である。

常に2匹以上で行動しており、群れから離れ単体行動している(はぐれ)ことは少ない。

獰猛であり、仲間を呼んだりもするため、迅速に倒さなければならない。

中には冒険者等から奪った鎧や、武器を装備して戦う奴もいるため、用心が必要である。


で、このコボルトであるが、俺らが倒したのは3匹のチームを組んでいた。

3匹とも胴当てを着けており、それぞれ長剣、槍、斧を装備していた。


まず俺は力の強そうな斧持ちの眉間を矢で居ぬくと、2匹は一瞬にして戦闘態勢に入り、矢の飛んできた方にルーシーがいるのを見つけ、こちらへと素早く移動してきた。


それはジャイアントボアの素早さの比ではなく、ルーシーと同等かそれよりも上。

俺は弓を再び構えるのを辞め、短剣を握りルーシーをカバーするべく槍持ちと対峙した。


俺の武器は槍には不利だが、逮捕術で培ってきた技術は、この世界の能力に合わせて使用できるほどには力がある。

相手が俺の心臓を突くべく左側から槍を振るい、槍はしなりながらもその速さについてくる。

今までの魔物とは比べ物にならないが、ヒューグさんと比べてしまえばクソ遅い。

俺は短剣を槍先の付け根に狙いを定めて振るい、その明らかに耐久度の低そうな棒の部分に激突させる。

するとバキッと槍が折れ、俺はそのままの勢いで回転し廻し蹴りを相手の顎へ叩き込んだ。


脚には身体強化された勢いに、風魔法でより速度をあげている。槍持ち――今は棒持ちだが――の顎に当たると、その衝撃に首が耐えられず絶命した。


ルーシーの方を見ると、左肩を負傷しており、若干コボルトの方が素早いのか、苦戦していた。


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