別々の道へ
ヒューグさんに化け物呼ばわりされてしまった・・・・
「で、でも、普段そんなことないじゃないですか!ゴブリンだって弓ならともかく、短剣だと少し手こずってましたし、これは一般的な数値だと思っていたんですが・・・・」
俺は今までゴブリンすら倒すのに苦労してきたのだ。ここで化け物と言われるのは意味が分からない。
ヒューグさんにそのわけを聞くと驚くべき事を口にする。
「成人1レベのpotential平均値は900だ。1000から800に収まるのが普通だ。
俺がお前に平均値を話していなかったのは、そんな数値にとらわれてほしくなかったからなんだが・・・」
予想もしない返答に、言葉を失った。
ヒューグさんは俺を一瞥した後、さらに真剣な面持ちで続ける。
「だがな、多分普段のお前は自分自身でpotentialの上限に制限をかけている。
それは自身がそこまで強くないと思っていたから、俺はこれぐらいしかできないと思っているからだろうな。」
まるで全てお見通しだと言わんばかりだ・・・
ヒューグさんはさらに厳しい表情をして話を続けた。
「だが、これからは違う。
今の平均値を聞いて自分がどれだけすごいpotentialかを認識したはずだ。
それは使い方を間違えると非常に危険なものだ。
技術なんてのは関係ない。力だけで圧倒できてしまうかもしれん。まぁ、お前は力の使いどころ間違え無さそうだし、大丈夫だと思うが、まずは力の調整ができるようになった方が良いかもしれないな・・・・。」
平均値900???????
おれ8000あったぞ・・・・
技術はないけど、本当は強いのか・・・内訳が知りたいがな・・・
でも、自分で制限をかけている・・・か。
確かに俺は前世での記憶があるせいか、普通人はこんなに早く動けないとか、そんな感じに思っている。
身体強化でその考えも多少は軽減されただろうが、ヒューグさんの動きを見て、そこまでは出来ないと自分で思い込んでいたのか・・・?
「そうだったんですね・・・。自分で制限をかけているってことですけど、正直これはなかなか取ることは難しそうです。」
俺自身よくわかっていないのだ。そんな簡単に行けない。
「少しずつ慣れていこうと思います。それに、実際技術はないので・・・少しずつ強くなろうと思いますよ。」
俺は今15歳だ。ゆっくり力をつけて楽しみながら生きていく。
「そうだな。ま、お互いに頑張ろうってことでお前の分け前はこれだな。」
そういってヒューグさんはドサッとじゃらじゃらいってる袋を渡してきた。
「なんですかこれ?」
「ああ、金だな。昨日ギルドでドラゴンをだしただろ?解体もきれいで、高値で売れたんだよ。グレイトは龍種の中では一番下だが、Aランク冒険者が数人いないと倒せないからな。ってことでその売れた金貨24枚だな。最初の資金にしてはありすぎるくらいだが、余裕を持って慎重に依頼をこなしていけよ!」
俺らは、ギルドに登録したと同時にドラゴンの素材を売っていた。
トラックがⅤに上がっていたことで、自動的に解体してくれており、それを説明したときのヒューグさんの顔は今でも忘れられない・・・。
それにしても・・・金貨24枚・・・
この世界は銅貨、銀貨、金貨、白金貨にそれぞれ大がついたものもあり、全部で8種類の硬貨がある。
銅貨1枚が100円、大銅貨1000円、銀貨1万円と10倍ずつ上がっていく。ってことで金貨は1枚100万円・・・つまり
二千四百万円也
「・・・・・それはまた・・・大金ですね・・・二人合わせて48枚ですか・・・。」
「ん?いや、一部の素材は残しただろ?流石にそこまではいかねぇよ。俺は1枚も貰っていないぞ。あれはお前ひとりで倒したんだしな。」
「え?いやいや、半分にしましょう!ヒューグさんいてこそのこの大金なんですから!」
ヒューグさんがいなければ俺は多分生きていない。
これは互いに分けるのが普通だと思う。
「いや、ま、くれるなら貰うわ!ありがとなジン!
で、次にこれがゴブリンとか道中倒してた魔物の素材を売った金だ。」
ヒューグさんは素直に受け取ってくれた。ヒューグさんが倒したことになっているし、問題を抱えてくれるわけだから当然だ。口止め料でもあるしな。
で、次に銀貨4枚を受け取る。
「これはヒューグさんと半々でいいんですよね?」
「ああ、これは2人で倒してきた魔物だからな。見ての通り、最初あれだけ倒してもこんなものにしかならない。金は大事にするんだぞ。」
ゴブリンとスライムの素材はその魔物の核といわれる魔石だけなのだが、弱い魔物だと、その売値は大分安いみたいだ。
それでも俺が前世であんだけ苦労してきたお金が・・・危険はつきものだし、ドラゴンで死にそうになったとはいえ、こうもあっさり稼げてしまうのは・・・なるほど、冒険者に憧れるのも納得だ。
怪我しても十分食っていけるように今後も貯めていかねばならない。
「うし、じゃあジン、困ったことがあれば何時でも俺を頼ってくれ。ギルドに伝言を頼んでくれてもいいし、飲みに誘ってくれてもいいぞ!もちろん奢りでな!」
「はいはい、なるべくご迷惑かけないように安全第一に頑張りますよ。」
いつもの調子のヒューグさんに、俺もいつもの調子で返した。
「ヒューグさん。」
「ん、なんだ?」
「大変お世話になりました!ヒューグさんにしていただいたこと、俺忘れません・・・!」
俺は深々とお辞儀をした。
「おう!じゃあな!元気でやっていけよ!」
ヒューグさんはそんなのはどうでもいいといった感じで、手をヒラヒラさせてあっさりと宿を出て行った。
あまりにも淡泊な別れに呆然としつつも、ヒューグさんらしい別れにクスっと笑ってしまった。
そういえば、ヒューグさんが何をして周りからビビられてるのかとか聞かなかったな・・・他にもありそうだけど、まぁ思い出したら今度飲みにでも誘うか。
で、とりあえずどーすっかな・・・さっそく依頼ってよりかは、この王都の散策と魔物とか職業の情報収集だよな。
地盤を固めてしっかりやっていこう。




