特級ポーション
あれから早くも1か月が経っていた・・・
最初の狩りは食糧確保の為のものであったらしく、1匹仕留めたら即訓練に移行していたが、身体強化の使い方が分かり始めてからは各レベルを上げるために狩り続ける日もあり、自身でわかる程に力や技術が身についていくのがわかった。
ちなみに身体強化は、気闘術といわれる自身の気を感じ取り、それを体内で高速循環させたり、一部に溜めたりすることによってできるもので、力等を強化できる。
術士になって気闘術と身体強化がスキルにより追加されることにより、扱いが簡単になるらしい。スキルを持たない者でも使える者がいるらしいが、それは定かではないとのこと。
そして今日、ついに・・・
嬉しいが、心からあまり喜べなくなる出来事が・・・
それは、特級ポーションが完成したのだ。
いや、これに関しては素直に嬉しいし、この村の人たちの怪我や病気が治るのを見て感動すらしたのだが・・・
問題はヒューグさんだ。
当然ヒューグさんの腕が治ったのは嬉しかったし、良かったと思う。
この1か月稽古をつけてもらい、戦い方や身のこなし方、他にもいろいろな知識を教えてもらったのだが・・・
治った瞬間に嬉しそうに俺に感謝してくれて、その後すぐに感覚を取り戻したいと言ってきた。
これも気持ちはなんとなくわかる。
思い通りに動かなかった腕が治って、その腕をすぐにでも動かしたい気持ちは分かっているつもりだ。
だからこそ俺も嬉しかったし、すぐに二つ返事で了承した。
ヒューグさんの浮かれ具合をきちんと認識できていなかった俺も悪いのかもしれない。
「うぅ・・・・・・」
俺は声にならない声を上げながら立ち上がろうと力を入れようとするが、全く力がはいらない。
初めて戦った時にもボコボコにされたけど、そんなもんじゃない。
とゆーか、村長が折角作った特級ポーションを俺が1本飲む羽目になった。
全身骨折のボッコボコ・・・・いや、限度があるやろ?
これには村人全員が怒ってくれた。
この1か月、村のみんなとも仲良くなってきたし、夜はみんなで酒を飲むようにもなった。
村に着いてから2日目に煙草を吸い始め、最初は不思議がっていた人たちも今じゃ挑戦者まで現れるようになった。みんな咽ているけど・・・
そんなこんなあって仲良くなった人たちが皆怒ってくれて、心配してくれてすごく嬉しかった。
ヒューグさんも反省してくれたのだが、
言い訳は、
「ちょっと加減を忘れてた・・・テヘペロ☆」
だ。
俺がこの1か月で強くなったと思ってたのをまた粉々にしやがった。
しかもまた一撃で・・・・
そしてその日からさらに稽古が厳しくなる。
ヒューグさん曰く、もう王都に行けるだけの力もあるらしいが、体を慣らしたいから付き合えとのことだった。
まぁ俺も生き急いでるわけでもないし、一発その顔に叩き込めるチャンスがあるなら、と付き合うことにした。
そうしてそこから1週間たった時、短剣術士はⅩになった。
1か月ちょいでⅩになったことに心底びっくりしたのだが、ヒューグさんに伝えると、一瞬驚きの表情を見せた後、教える師が優秀だと下位職業はそんなものだと言ってきた。
独力だとなかなか上がらないとのことで、もっと俺に感謝してもっと煙草をよこせとヒューグさんに言われた。
煙草を吸った日はヒューグさんと村長と3人の時だったのだが、酒に酔った俺が煙草を我慢しきれずに取り出して吸ってしまった。
本来なら誰にも見られずにこっそり吸うべきであったが、正直無理だった。
でももっと早く吸うべきだったと後悔する。それは、なんとこの煙草、取り出した瞬間に火が付く仕様になっており、見た目も味も地球と全く同じなのだが、煙は目に入っても大丈夫だしどうやら無害で、灰も残らず、どうやらそれが煙になっている。
そして極めつけは、もう吸わなくていいやと思うと、そのまま煙草は消滅するという環境に超絶クリーンなものだった。
それを見せてしまった時の2人への対応は困ったが、こればっかりはなんて言っていいか分からず、代々伝わる技術で公にできず、教えることは出来ないんですといってなんとか納得してもらうしかなかった。
そしてそれを興味本位で吸ったヒューグさんは当然吸って咽る。
俺がそれを見て笑うと俺が吸うたびに「くれ」といって吸っていて、今では愛煙家の一人になってしまった。
まぁ愛煙家というには煙は無臭無害なのだが。
そんなこんなで、俺はジョブチェンすることになり、弓術士になったのだった。
それにより弓の扱いに慣れるためにまた指導を受けるのだが、いったいいつこの村を出れるのやら・・・




