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引きこもり勇者がダンジョンマスターになったら  作者: ニンニク07
第四章 卒業編
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エピローグ 旅立ち

 ガブリエルの持つ天使固有の治癒魔法を受けた僕は高木をゲスト登録をして最上階である二十三層にある城に向かう。高木と仲良くする義理はないが、距離を取り過ぎると面倒なことになりそうなので、普通に接することを心掛けることにした。


 城の通信室ではネームドモンスター達が僕と高木との戦いを見ていたそうで、皆、複雑な顔をしていた。負けた上に相手に諭されて和解したのだから無理もないか。


 ここにいるモンスター達はダンジョン防衛用に生み出されたプログラムのようなものだ。今まで僕はそう思っていた、だが、意思疎通できる以上やはり彼らもまた自分の考えを持つ命なのだ。なので僕はガブリエルのようにいつか彼らにも認めてもらいたいと心の底で願うことにした。


「これより、緊急会議を始める」


 司会を務めるガイアールが会議の開始を宣言した。幸いにもダンジョンの実力者のほとんどがこの城にいたため、すぐに会議を始めることができた。会議に参加しているのは、僕と高木、ガブリエル、それに五体のネームドモンスター達に、少数の金卵モンスターだ。


「ここから西に位置する王都が魔王に占領されている。集めた情報によると、民間人の大部分が脱出したようだが、勇者達は王宮に結界を張って籠城しているということでよろしいのですね、ガブリエル殿?」


「ああ、一週間前に王都の方面にあの変態、いや大天使ラファエルの現界を感じた。情報から推測するに〈聖絶〉を使ったのだろう。確かにあれなら魔王と言えど簡単には破れない。とは言え厄介なことに女神の結界が消えたので、後一週間持つかどうかだな」


 ガブリエルが冷静に現在の状況を解説した。そう言えば、ここ最近彼女がやる気を出しているのはなぜだろう?同僚の大天使に会いたいのかな?


「さて、マスターが外に出て戦うというのなら、我々はそれに従う他ありませんが、ここで外で戦うデメリットについておさらいしましょう」


 ガイア-ルは懸念事項を伝達する。


「まず、第一に、ダンジョンの外で死んだ場合復活できません。そして相手は魔王です。強敵です。かなりの数の死人が出るでしょう。次にこれはマスターに関係のある話ですが、敵を倒しても力を回収できません。(貪欲)があるので直接倒した場合は別ですが、後は遠征部隊が出払った際のダンジョン防衛をどうするかです」


 ガイアールの話を聞いて皆、思案する中、ただ一人高木だけ僕にそっと囁いた。


「えっ、こいつら復活できるの?」


 高木の言うのは最もだ。ダンジョンの中ならいくら死んでも復活できる。これは凄まじいアドバンテージだ。だが、外に出るというのはそれを捨てることを意味する。そう考えると外に出て戦うことを躊躇してしまう。だが、それでも。


「聞いてくれ、みんな。確かにダンジョンの外で戦うというのは、大きなリスクを伴う。しかし、復活できるからと言って、いつまでもダンジョンの中で甘えた戦いをしていてるのはダメだと僕は思う。やはり命を懸けて戦わないと本当の強さは身に着かないと思うんだ」


 僕は朝倉達やベルゼブブのような強敵を思い出しながら言った。そして僕の発言にブラドを含め何名かが反応した。


「この機会を待っていた!!ダンジョンの外に領地を広げるこの時を!」

「正直言って、最近誰も来なくて暇だったんだよね」

「クーアンも行くー!!」


 ブラドに続いて何人かが名乗りを上げた。驚いたことにみんなダンジョンの外に出たかったらしい。ガイアールの懸念など耳に入っていないようだ。


「ハアハァ、では、編成はこれで行きましょう」


 それから一時間近く話し合い、ようやく出陣するメンバーが決まった。皆、外に出たいらしく決めるのに苦労したものだ。


 千体近いモンスターの大軍だ。これで王都を解放できなければ、誰もできないというガブリエルからのお墨付きももらった。


 準備のため、ほとんどのモンスターが最上階を離れた後、僕は一人で城の裏手にあるガチャの精を尋ねた。




「もう引きこもるのは止めにしたよ。これから外の世界出て、多くの事を知って触れようと思う」


 正直うざいと思うガチャの精に報告するのは、こいつの前身であるナビ子が以前引きこもりをやめろと言ったからだ。その意趣返しというわけではないが、何となくこいつには報告する必要がある気がした。


 ガチャの精は何も答えない。いつもはうるさいのに何故か静かだ。時間の無駄だなと感じ背を向けた時、

頑張れ!と一言だけ聞こえた気がした。僕は振り返ることもなく、片手だけ上げて返事をすると一気に一階へと飛んだ。




 そして、僕は今、一階層にあるモンスター専用の出口に立っている。去年の七月から引きこもったと計算して、八か月ぶりに自分の意思で外に出ることになる。


 これから、待っているのは魔王との熾烈な戦いだ。辛い未来が待っているかもしれない。だが、それでも辛い環境に飛び込まなくては自分を変えることなどできない。僕は高木との戦いからそう学んだ。


「これより、王都奪還作戦を開始する、みんな行くぞ!」


 オーというかけ声を聞きながら、僕は外の世界に足を踏み出した。



勇者残り、十六名   魔王残り、八名

あっさりとそして雑に終わったかもしれませんが、これで四章完結です。次回から第五章、王都解放戦がスタートです。

一応、全部で七章の予定で作品を書いています。ですので折り返し地点を超えました。

残り半分になりましたが、これからもお付き合いして頂ければ嬉しいです。

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