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アメリアの恋人探し  作者: 未羊


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第9話 気になることが多すぎる

 アメリアは目を覚ます。

 体を起こして部屋の中を見るも、まだまだ真っ暗な状態のままだった。


(まだ、日が昇っていない……)


 どのくらいの時間だろうか。

 この世界には時計のようなものはない。時間を確認したくても、アメリアには確認することは不可能である。

 ひとまず、いずれは朝のお祈りの時間を迎えるだろうからとベッドから起き抜けている。

 服を着替えながら、アメリアは夢の中で聞いたマーシエスの言葉がとにかく気になっている。


『魔王が復活する気配がある』


 このことは、聖女を目指すアメリアにとってはかなり衝撃的な事実だ。

 魔王が復活するとなれば、聖女は必須となる存在。

 転生してきてからこれまで12年間過ごしてきたこちらの世界では、当たり前のように言われてきた話だ。アメリアも当然、そのことは重々意識している。

 この世界には、現在は聖女がいることはいるらしいのだが、現状の人数ではおそらく厳しいということなのだろう。神殿がわざわざ聖女候補を集めているということは、つまりそういうことだと思われる。


(なんにしても、私が聖女にならないといけないというわけですよね。転生者はなにかしら特典を得るとは言いますし、私もそういう類なのでしょうね)


 しっかりと服を整えながら、アメリアはそんなことを思っている。

 だが、まさかすでにその大きな特典を得ているなど考えもしていないようである。

 それにしても、アメリアは自分の体の状態のことをかなり不思議に思っている。なにせ、昨日は神殿の周りを朝夕で四周もしているのだから。前世の経験からすると、これだけ運動をすれば筋肉痛が起きているものだ。しかし、自身の体に痛みのようなものは感じられない。ある意味転生チートなのだろうか、そう思うアメリアである。

 しばらくすると、部屋の扉が叩かれる。


「アメリアさん、起きていらっしゃいますか?」


 どうやら、神官がお迎えに来たようだ。これから朝のお祈りというわけである。


「はい、起きております」


 アメリアが返事をすると、部屋から出てくるように言われる。

 アメリアはおとなしく、言われた通りに部屋を出ていく。そこには女性の神官が立っており、近くには同じように起こされた聖女候補たちが、ものすごく眠そうな顔をして立っていた。

 さすがにこんなに早く起きることに慣れていないのだろう。あくびをする姿も見えて、アメリアはちょっと気の毒に感じている。

 しかし、神官はまったく気にかけている様子はない。自分のやることを淡々とするだけだと、アメリアについてくるように声をかけただけで、ゆっくりと歩き出してしまった。


(懐かしいわね。高校時代の合宿だったかな、そういう厳しい態度を取られた記憶がありますよ)


 アメリアは、どういうわけかおかしそうに笑ってしまっていた。

 アメリアに声をかけた女性の神官は、あと二、三人に声をかけると、礼拝堂へと歩いていく。どうしてかと思ったけれど、礼拝堂に顔を出して納得がいった。

 自分たちを連れてきた神官以外にも、数名の神官が聖女候補たちを起こして回っていたのだ。さすがに40名もいると、一人で起こして回るのは非効率で大変。手分けをするのは当然というわけだ。

 こうして、修行二日目が始まった。

 昨日と同じように、祈りを捧げてから神殿の周りを走り、朝食を迎える。

 しかし、昨日は少し元気のあった聖女候補たちは、今日はなんとも食が進んでいないようだ。おそらくは、昨日の疲れがたまっていて、食が進まないのだろう。

 とはいえ、食事の時間は決まっている。あまり食事を取れるような状態になさそうな聖女候補たちは、無理やりにでも口に食事を運んでいた。

 二日目でこの状態だ。はたして、何人が三年間を無事に過ごせるのだろうか。全体の様子を見渡しながら、アメリアは気がかりになってきてしまう。

 だが、明日は我が身になる可能性があるので、自分のことに集中せざるを得ない。なんともつらいところである。


 その後も、神殿の清掃から座学を受ける聖女候補たち。

 特に座学中には、さすがに限界を迎えて眠ってしまう姿も見られた。

 これでは、お昼からの奉仕活動に不安が残ってしまう。さすがのアメリアも、放っておけない状況になってきてしまった。


(ちょっとだけ……。ちょっとだけなら力を使ってもいいかな)


 みんなのつらい状態を見かねたアメリアは、ひとつ手を打ってみることにしたようだ。

 それは、全員が集まるお昼の食事の時間だ。教官であるフォトニアや神官たちがいるので、もしかしたら気づかれるかもしれない。

 それでも、下手に死人を出すよりはマシだということで、アメリアは自分の得意の回復魔法を、食堂の中で発動させることにした。

 魔法を使っているとは見えないように、実に自然な動作の中でこっそりと発動させるアメリア。


(これでよしっと。これで食事を取れるくらいには回復したはずです。育ちざかりなんですから、モリモリ食べてもらいませんとね)


 魔法を使い終えたアメリアは、小さく息を吐いていた。

 アメリアのお節介は、はたしてどのような影響を及ぼすのだろうか。

 お昼を食べ終えた聖女候補たちは、お昼のお祈りのために食堂からそろって移動を始めるのだった。

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